研究課題/領域番号 |
18K13617
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
山崎 哲 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), 研究員 (20633887)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大気ブロッキング / 大気大循環モデル / アンサンブル予報 / 予測可能性 / アンサンブルデータ同化 / 成層圏突然昇温 |
研究実績の概要 |
研究代表者のチームで開発を進めている大気大循環モデルとアンサンブルデータ同化システムを用いて,ブロッキング形成メカニズムのための予測可能性研究をこれまでの年度に継続し進めた.まず,様々な解像度での大気大循環モデルの実験に成功した.過去のブロッキング事例についてのアンサンブル予測実験や,複数解像度での実験を行なった.さらに,大気大循環モデルとアンサンブルカルマンフィルタを使った全球アンサンブルデータ同化システムを用いて,最近発生したブロッキング事例や,それに関係する成層圏循環,特に成層圏突然昇温との関係について再現実験を行い,そのデータ分析を行なった.成層圏循環はブロッキングの形成との強い関係が指摘されている. 顕著な成層圏突然昇温イベントが見られた2018年と2019年の北半球・南半球の冬季で,アンサンブルデータ同化システムで同化される放射輝度観測AMSU-Aを取り除いた実験を行い,ブロッキングの再現性がアンサンブルデータ同化システムや予測実験の中でどのように変化するのかの調査を行なった.まず,アンサンブルデータ同化システムでは,成層圏突然昇温と,対流圏循環を現実的に再現できていることがわかった.AMSU-A観測を取り除いた実験を行なった結果,AMSU-A観測は南半球中緯度のストームトラック域で大きなインパクトを持つことがわかった.2019年9月にこの領域で発生したブロッキング高気圧の発生に伴って観測インパクトが特に大きくなっていたことと,これが成層圏循環と関係している様子が見られた.このことから,AMSU-A観測とブロッキング形成の予測可能性とに関係があることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度と同様に研究代表者が利用している大型計算機の更新による移植作業と,COVID-19による社会的な活動制限により研究の進捗が大幅に遅れた.
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今後の研究の推進方策 |
成層圏を解像できるように解像したモデルとアンサンブルデータ同化システムを駆使して,複数の現実のブロッキング事例の形成についての予測可能性研究をさらに進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響による学会・出張ができなかったため.2022年度での論文執筆及び成果発表に使用予定である.
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