研究課題
雷放電路三次元進展可視化システムFALMAの開発と夏季雷観測データの解析を行った。岐阜県及びその周辺での12観測サイトから構成したFALMAの夏観測データを解析し、FALMAは雷放電の三次元進展の様子を細かく再現できることが分かった。夏季雷データの解析で以下三つの成果が出ており、論文にまとめた:(1)正極性落雷の初期放電のパルス列(preliminary breakdown pulses)の放電極性を初めて特定した;(2)高高度(>12㎞)から開始し、下に進展する雲放電を初めて観測した;(3)観測が困難と言われる正極性リーダを数百例記録し、進展速度の統計解析ができた。これらの結果は平成30年度6月に開催された第16回国際大気電気学会でも発表され、注目を浴びた。冬季雷の観測に向けて、夏に北陸地方に7か所の観測サイトを設置し、予備実験として観測を行った。そして、10月からさらに7か所の観測サイトを増やし、直径80㎞の観測ネットワークを構築した。このシステムを用いて、10月から3月まで上向き雷を中心に冬季雷の観測を行った。停電や雪などの影響にもかかわらず、12サイト以上同時に観測した冬季雷は数百例があった。その中に、上向き雷は既に数例確認できた。今後はこれらのデータを詳しく解析する予定である。
2: おおむね順調に進展している
夏季雷データの解析により複数の成果は既に出ているため、私たちが開発した雷放電路三次元進展可視化システムFALMAの優れた性能が確認できた。FALMAを用いて北陸での冬季雷観測も多くのデータを獲得した。これらのデータの解析で多くの成果が期待できる。
平成30年度冬季の観測で、いくつかの観測サイトのノイズレベルは高くて、改善する余地がある。今後はノイズレベルの低い場所に移設して、もっと質の高いデータを獲得することを準備している。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Journal of Geophysical Research: Atmospheres
巻: 123 ページ: 7989~7998
10.1029/2018JD028716
巻: 123 ページ: 9430~9442
10.1029/2018JD028637
巻: 123 ページ: 12,597~12,605
10.1029/2018JD028979
https://www1.gifu-u.ac.jp/~lrg/falma.html