ストリップ型シリコン検出器の支持構造、電源系、読み出し系、制御系のハードウェア及びソフトウェアの開発を進め、32cmx32cmの有感領域を持つ試作機についてCERNの実験室でのデータ取得に成功した。FASER実験の研究者約10名程度との国際共同開発であり、私は責任者を務めている。本研究では電源系、読み出し系、制御系をストリップ型シリコン検出器と電気的に繋ぐインターフェースとなるフレキシブルケーブルとプリント基板を開発した。執筆した仕様書を元に2019年6月にプロトタイプ製作を開始し、それぞれ数度の修正を経て2020年1月に完成した。また電源系を担当し、保護回路の作成と動作確認を含め準備を完了している。支持構造と読み出し系ハードウェアはジュネーブ大学、制御系ハードウェアは清華大学が担当し、同様のスケジュールで開発を進めた。ソフトウェアの整備も順調に進んでいる。 そして全てのハードウェアを組み上げ、ストリップ型シリコン検出器の電流電圧特性や温度依存性など基礎的な測定を既に完了している。さらにストリップごとの挙動(ノイズやアンプ増倍率など)について詳細な測定を進め、想定した性能が発揮できていることを確認した。磁場を用いた宇宙線ミュオンの運動量測定はFASER実験用磁石を使用する。FASER実験用磁石を設置する大型の実験室をCERNに新たに確保し、ストリップ型シリコン検出器との統合運転に向けた準備が完了している。
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