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本研究課題では、実際のイオン吸着型レアアース鉱床の解析およびレアアースの吸脱着実験を行った。これまでイオン吸着鉱では、レアアースは粘土鉱物に吸着されていると推定されてきた。しかし鉱床においてレアアースは140～2000 ppm程度と濃度が比較的低いため、それが実際にはどのような鉱物であり、各鉱物においてレアアースがどのような存在状態にあるのかよくわかっていない。そこで本研究では、研究期間を通じて実イオン吸着鉱について、電子顕微鏡の他、レーザーアブレーションICP質量分析（LA-ICP-MS）法および高解像度高感度二次イオン質量分析（Nano-SIMS）等の多様な手法を用いて解析を行った。その結果、鉱石中のカオリナイト質の粒子が高いレアアース濃度を示し、さらにこのカオリナイト質粒子中の特にイライトにレアアースが濃集していることが明らかとなった。これまで、実イオン吸着鉱においてレアアースを吸着している鉱物を直接的に観察・特定した例はほぼなく、本研究において多様な分析手法を用いることによってこれまでにない結果を数多く得ることができた。また鉱石についての電解質溶液を用いた脱離実験において、レアアースは粘土鉱物表面に吸着された外圏錯体となっているだけでなく、構造中に組み込まれた内圏錯体も一部形成していることが示唆された。また多様な粘土鉱物を用いて吸着実験を行い、それぞれの粘土鉱物のレアアース吸着能の差異についても調べている。これら得られた成果によって、これまで地球惑星連合大会2019年大会やGoldschmidt2019といった国内外の学会において研究発表を行ってきた。また研究最終年度には、査読付き英文誌である「Scientific reports」に内容が掲載されている。
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