本研究では,岩石―流体反応帯から流体圧と浸透率を定量的に見積もる手法を開発・検証し,天然の変成反応帯に適用した.水熱実験では大理石をアパタイトに置換することで,拡散律速型の反応帯形成に成功し,その挙動を反応輸送モデルでモデル化した.中下部地殻相当の複数の変成反応帯を解析した結果,流体活動時間は数時間-1年であり,浸透率(log10 [m2]単位)は-22~-20と従来の定説(-18)よりも二桁以上低い.一方で反応帯に伴う亀裂の浸透率は-15~-10と非常に高い.従来の定説は100万年スケールの平均値であり,数時間~年スケールでは,地殻の浸透率はダイナミックに5桁以上変動することを明らかにした.
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