地震時の断層滑りがどのような履歴を辿るかを、数理モデルによって確率的に表現する方法を提案した。断層滑りの履歴は地震ごとに大きく異なり多様であることが知られているため、従来の方法論とは異なり、確率的にしかモデル化できないであろうという立場から、本研究は出発している。したがって本モデルは、個々の地震の振る舞いを説明するものではない。それでも本研究では、多数の観測事例から滑り履歴について知られる複数の経験則を、本モデルが統計的に再現することを示した。更にその物理的背景について、予察的ではあるものの、断層面上の摩擦挙動と本モデルの確率過程が対応付け可能であろうということを提唱した。
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