本研究では海底下で起こる水循環に着目し、大量の含水が期待される海底断裂帯とトランスフォーム断層を対象に観測研究を実施した。これまで入手の容易でなかった海洋マントル物質試料を7海域より新たに集積し、それら岩石の磁性および物性のデータ群を新たに構築した結果、岩石-水反応の促進に伴う密度低下と磁性変化が、異なる地質学的背景を持つ海底で共通に起こる事が明らかとなった。さらに、海底断裂構造を示す3海域での海域磁気のデータ取得・解析を行った結果、水循環との関係を示唆する一様な傾向は掴むことができなかった。地殻構造の不均質および古地磁気強度変動を精度良く理解する必要があることが今後の課題として導かれた。
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