プレート境界浅部の応力状態を明らかにするため、ニュージーランド・ヒクランギ沈み込み帯で取得した3次元地震探査データに走時トモグラフィ解析を適用し、P波速度とその方位異方性の3次元分布を高解像度で推定した。解析の結果、付加体内に発達する分岐断層とプレート境界断層の近傍で顕著なP波速度異方性を検出した。付加体内のP波の速い軸はプレート沈み込み方向に一致し、沈み込みによる圧縮応力場を反映している。一方、前弧海盆から陸側の領域ではP波の速い軸は海溝に平行な方向を向くことから、この場所を境にプレート境界での固着状態および上盤プレート内の断層構造が変化する可能性があることがわかった。
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