研究課題/領域番号 |
18K13642
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
藤崎 渉 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海底資源研究開発センター, 特別研究員(PD) (80815192)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 前期原生代 / 黒色頁岩 / 大型化石 / Re-Os年代系 / ガボン共和国 |
研究実績の概要 |
中央アフリカ・ガボン共和国前期原生代地層(約21億年前)からは、最古の真核生物と考えられる形状化石(ガボン化石)が報告されているが、地層の年代制約が不十分であるため、ガボン化石の産出年代については議論が続いている。従来の研究では、凝灰岩から抽出したジルコンのU-Pb(ウラン-鉛)年代を用いてガボン共和国前期原生代地層の年代制約を行なっているが、メタミクト化に伴う放射性起源Pbの欠損が深刻であるため、信憑性に欠けるといった問題があった。本研究では、有機物に富んだ黒色頁岩の年代決定に最適なRe-Os(レニウム-オスミウム)年代測定法を用い、ガボン化石が産出する黒色頁岩の層準に絶対年代を加えることで、地球生命史の中でも極めて重要なイベントの一つである、真核生物誕生時の古海洋環境変動を読み解く基盤構築を目的としている。本年度は、4つに細分される前期原生代堆積盆地のうち、ラストュールヴィル地域にて採取した黒色頁岩13試料の粉末化を行った。またRe-Os分析用の環境設備を整え、予備分析に着手し、粉末化した試料のRe、Os濃度の概算を行った。この予備分析の結果を加味し、各々の試料に対して添加するOs、Reスパイク量を最適化することで、高精度Re-Os年代測定を行う。さらに予備実験と並行して、現在はフランスビルヴィル地域にて採取したガボン化石(約300試料)の試料選定や薄片作成の準備も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Re-Os年代測定用の岩石試料の選定及び粉末化に加え、一部の黒色頁岩試料についてはRe-Os分析に着手し、岩石試料中のRe、Os濃度を概算するまでに至った。これは当初の研究計画通りであるため、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、粉末化作業が完了した岩石試料にRe-Os分析を適応し、ガボン共和国前期原生代地層の年代制約を行う。また、薄片観察及びSEM-EDSを用いて、硫化物で充填されているガボン化石の記載を行い、Re-Os分析に適した化石試料を選定する。
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