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2018 年度 実施状況報告書

アフリカにおけるクロサイ族の多様性変動と初期放散の要因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K13648
研究機関大阪大学

研究代表者

半田 直人  大阪大学, 総合学術博物館, 技術補佐員 (60792009)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードサイ / アフリカ / 新生代 / 古生物地理 / 進化 / 哺乳類
研究実績の概要

本研究では、従来から不明確であったクロサイ族の起源や系統関係を明らかにすること、そしてこれらがいかにしてアフリカで出現・多様化・衰退してきたのかを明らかにする。さらには分布範囲を変遷を議論し、その要因が古環境変化やほかの草食哺乳類との競争にあるという仮説を立て、これを検証することを目的とする。具体的には、1)クロサイ族全種の分類を整理し、系統解析によりこれらの系統関係を明らかにする。2)それらの時代ごとの種数と分布変化をまとめる。3)その変遷を古環境変動やウシ科・ウマ科の多様性と比較する。
本年度の計画は、上記1)の目的を遂行するために、アフリカで発見されたクロサイ族およびその祖先系と考えられているParadiceros属の模式標本を調査することにあった。予定通り、ケニアのケニア国立博物館、フランスのパリ国立自然史博物館ならびにリヨン第1大学の計3機関に訪問し、Paradiceros属の標本、アフリカのケニア、アルジェリア、チュニジアで発見されたクロサイ属4種の模式標本を観察できた。今回の標本調査により、アフリカのクロサイ属とその近縁種の模式標本類は観察が完了した。また、ギリシャで産出したクロサイ属1種についても若干数の標本観察を実施した。
研究成果の公表については、パリで行われたIPC5でクロサイ族を含めたアフリカの後期中新世サイ科化石の群集組成について発表し、とくに分類の未確定な標本について意見交換ができ、分類群の整理の見通しが立った。さらにギリシャの研究者との意見交換によりヨーロッパのクロサイ族の標本に関する情報を得た。本年度は国際誌にアフリカのサイ科に関する記載論文を公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は当初の予定通り、標本調査でケニア国立博物館とパリ国立自然史博物館およびリヨン第1大学への渡航、および国際学会参加(パリ)を実施した。
9月の台風の影響によりケニア渡航は当初の予定より短くすることになり、観察を予定していた標本の8割程度を調査することになったが、今後実施予定であるクロサイ類の系統解析に十分なデータ(Paradiceros属の標本群)を得ることはできた。従来記載論文で報告されていた標本に加えて、これまで未記載の頭蓋・下顎・臼歯・四肢骨も併せて観察でき、模式標本と同一産地から見つかった標本をほぼすべて観察した。これによって分類を検討するのに十分な形質を把握できた。これらの標本も含め、Paradiceros属の再記載を行っている。予算の問題もあるが、未観察の標本については次年度観察するか検討する必要がある。
フランスの2機関ではクロサイ族の絶滅種を観察できた。具体的にはパリ国立自然史博物館とリヨン第1大学において予定していたアフリカのサイ化石3種およびその近縁種の標本を観察した。現状、アフリカで発見されたクロサイ族の模式標本はすべて観察が終了した。標本群にはクロサイ族とは異なる種と思われる標本もあり、現在その分類も検討中である。

今後の研究の推進方策

次年度は予定どおりヨーロッパおよび中国から産出したクロサイ族の標本を観察する。ドイツおよび中国の研究機関および博物館に訪問し、ヨーロッパや中国で産出したクロサイ族化石2種を観察する。アフリカの分類群については、年代ごとの分布変遷を整理し、中新世のアフリカにおけるクロサイ族の分布変遷を把握する。
本年度に観察を実施したParadiceros属の分類学的再検討が完了次第、学会発表および論文公表を予定している。

次年度使用額が生じた理由

レプリカ作成用の消耗品および文献複写費用が予定よりも安価で支払うことになり、今年度使用額に残額が生じた。次年度の研究計画として、アフリカにおけるサイ科化石産地をレビューするため、未入手の文献資料を購入・複写を考えている。残額分はそれらの文献複写および購入費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Reassessment of a Pleistocene Rhinocerotid (Mammalia, Perissodactyla) from Aira, Kagoshima, Southwestern Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Handa Naoto
    • 雑誌名

      Paleontological Research

      巻: 23 ページ: 55~55

    • DOI

      https://doi.org/10.2517/2018PR009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Brachypotherium (Perissodactyla, Rhinocerotidae) from the late Miocene of Samburu Hills, Kenya2018

    • 著者名/発表者名
      Handa Naoto、Nakatsukasa Masato、Kunimatsu Yutaka、Nakaya Hideo
    • 雑誌名

      Geobios

      巻: 51 ページ: 391~399

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.geobios.2018.08.003

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] タイ北部Chiang Muan炭鉱から産出した中新世サイ科およびカリコテリウム科(奇蹄目)化石2019

    • 著者名/発表者名
      半田直人,仲谷英夫,國松 豊,三枝春生
    • 学会等名
      日本古生物学会第168回例会
  • [学会発表] Late Miocene rhinocerotid assemblage from Samburu Hills and Nakali in Kenya2018

    • 著者名/発表者名
      Naoto Handa, Masato Nakatsukasa, Yutaka Kunimatsu, Hideo Nakaya
    • 学会等名
      5th International Palaeontological Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] 日本の新第三紀中新世サイ科(哺乳綱,奇蹄目)化石:現状と課題2018

    • 著者名/発表者名
      半田直人
    • 学会等名
      日本古生物学会2018年年会

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公開日: 2019-12-27  

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