研究課題/領域番号 |
18K13648
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
半田 直人 大阪大学, 総合学術博物館, 技術補佐員 (60792009)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | サイ / アフリカ / 新生代 / 古生物地理 / 進化 / 哺乳類 |
研究実績の概要 |
本年度の調査として、研究目的の1)クロサイ族全種の分類を整理し、系統解析によりこれらの系統関係を明らかにする。2)それらの時代ごとの種数と分布変化を総括する点について進捗させた。当初の予定ではドイツおよび中国の研究機関におもむき、ユーラシアから産出したクロサイ族の標本を観察することであった。しかし予算の都合上、中国への調査は断念し、ドイツ・ミュンヘン古生物博物館に訪問し、パキスタン、ギリシャで産出したクロサイ族化石1種および同産地で産出したサイ科化石を観察した。前年度のクロサイ族およびParadiceros属の標本観察の結果と合わせてクロサイ族の系統解析を試行し、その予察的な系統関係を考察した。結果としてこれまで指摘されていた通り、Paradiceros属のクロサイ族のとの近縁性が見いだされた。しかし四肢骨の形質の不足や、個体変異による形質のばらつきについての議論が不十分であり、この点について考察する必要がある。さらに最近の地質研究の文献に基づき、アフリカ、ギリシャ、中国のクロサイ族の産出年代の刷新に努めた。これにより、ユーラシアおよびアフリカにおけるクロサイ族に関する産地ならびに産出年代を総括した。 研究成果の公表については、国内学会2回、国際学会1回それぞれ参加しサイ科化石に関する研究成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りミュンヘン古生物博物館にてパキスタンおよびギリシャで産出したサイ科化石を観察した。この観察結果および前年度の標本観察に基づき、従来クロサイ族とされていた北アフリカ産の標本が他の分類群である可能性を見出した。クロサイ族の系統解析をするにあたり、当初は中国に訪問し甘粛省産のクロサイ属を観察予定であったが予算の都合上断念した。代案として、同標本の記載論文の記載を利用することとした。また、近年中国産のクロサイ属の形質データを利用した論文が公表されたため、これも利用することとした。これらを含め予察的なクロサイ族の系統解析を実施した。扱った形質については一部に個体変異の可能性を検討する必要がある。 このほか、近年の地質文献の収集に努め、アフリカおよびユーラシアのクロサイ族の産地の年代(約2000万年前~500万年前)を総括した。これによってアフリカ・ユーラシアの時代ごとのクロサイ族の分布を把握した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はまず観察した個々のクロサイ属の再記載を完了する。また2018年に観察したParadiceros属の標本群について形質の個体変異を明らかにしたうえで再記載する。これらの分析によってクロサイ族の形質を整理したのち、系統解析を実施し、同分類群およびParadiceros属との系統関係を推定する。 さらに本研究の3つめの目的(クロサイ族の変遷を古環境変動やウシ科・ウマ科の多様性と比較する)の実施する。具体的には古生物データベース(PBDB、NOW)および最近の文献にもとづいてウシ科およびウマ科の年代ごとの種構成変化を総括し、2019年に実施したクロサイ族の年代ごとの種構成変化と比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予算の残額295円については少額のため適切な使用用途が無く、次年度で文献費ないし物品購入のために使用予定である。
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