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2018 年度 実施状況報告書

固体表面へのぬれ性に着目した粘着界面におけるはく離進展クライテリアの確立

研究課題

研究課題/領域番号 18K13652
研究機関北海道大学

研究代表者

高橋 航圭  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60619815)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードぬれ性 / 粘弾性 / 界面強度
研究実績の概要

今年度は、粘着剤のはく離試験の高精度化に向けて、試験機の整備に注力した。まず、はく離角度可変のピール試験機を導入し、高倍率マイクロスコープと併用することで、粘着剤のはく離力と変形の同時測定ができるようになった。さらに、万能試験機を応用してプローブタック試験を行うため、粘着テープの冶具と支持台、ならびに円柱と球状のプローブを作成した。これら試験機の性能を確認するため、試料として同種のモノマーを異なる重合度で合成したゴム系の粘着剤を用意し、厚さ25um、50umのPET基材に塗工して試験を行った。同種のモノマーであることから被着材へのぬれ性は同等で、異なる重合度によって変形抵抗の違いを狙ったサンプルである。
ピール試験の結果、厚さ50umのPET基材の場合には、重合度の違いに関わらずはく離荷重は同程度であった。厚さが25umのPET基材の場合、どちらの粘着剤もはく離荷重は増加したが、重合度の小さい粘着剤の方が大きなはく離荷重を示した。PET基材が薄くなることで、はく離時の粘着剤のひずみ速度が大きくなるため、重合度の低下に伴う粘性効果の増大によりはく離荷重が大きくなったと考えられる。プローブタック試験は、測定精度向上のために検討を続けている段階であるが、マイクロスコープの観察結果からはく離過程におけるキャビティの生成に違いを確認することができている。
また、はく離シミュレーションによる妥当性の検証に向け、ピール試験の有限要素モデルを作成し、粘着剤の粘弾性を考慮したはく離解析が行えるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

はく離荷重の測定にばらつきが大きいため、試験機の高精度化やサンプル管理法の検討に時間を要し、データの取得状況は計画よりもやや遅れている。しかし、新たに試験機や冶具等を導入したことで改善が見られたため、今後は加速的に成果をあげていける見込みである。

今後の研究の推進方策

基材厚さと粘着剤厚さの異なるサンプルでピール試験を実施し、測定したはく離荷重からエネルギー解放率を算出する。これらのデータから、粘着界面におけるエネルギー解放率、基材厚さ、粘着剤厚さ、粘着剤の粘弾性の間に成り立つ関係を整理する。さらに、ピール試験で分布する粘着剤の変形を、プローブタック試験で得られる均一的な変形で得られる荷重履歴と結びつけることで、はく離進展のクライテリアを導出する。導出したクライテリアの有効性を検証するため、有限要素法での結合力要素のパラメータとして用い、はく離荷重が実験結果と比較検討していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 粘着剤層を考慮したピール試験の有限要素解析2018

    • 著者名/発表者名
      高橋航圭,中川源, 藤村奈央, 中村孝
    • 学会等名
      第56回日本接着学会年次大会
  • [学会発表] Characterization of Fibrillation Process by Probe Tack Test in Various Scales2018

    • 著者名/発表者名
      Kosuke Takahashi, Ryuto Oda, Kazuaki Inaba, Kikuo Kishimoto
    • 学会等名
      12th European Adhesion Conference
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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