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最終年度では、主に（1）ガイド波の透過特性に基づく接着継手の特性評価法と（2）時空間逆フィルタによるガイド波集束法に関して検討を行った。
（1）では、薄板を伝わるガイド波であるラム波を用いた単一重ね接着継手（シングルラップジョイント）の評価を検討した。接着層厚が十分小さいという条件の下で時間領域の数値シミュレーションを実施し、ラム波A0モード入射時の透過係数が極大を示す周波数（ピーク周波数）から接着層のせん断剛性が推定できることを示した。また、接着層厚が薄いアルミニウム合金板の接着継手に対してラム波の透過測定を行った結果、継手を透過したラム波の振幅スペクトルが複数のピーク周波数を示すことがわかった。ピーク周波数から実験的に推定されるせん断剛性の妥当性については、今後さらなる検討が必要である。
（2）では、シングルラップジョイントにおけるガイド波の集束について検討した。はじめに逆フィルタリング（IF）法を定式化し、予備的な実験を行った。単一平板部に貼付した圧電振動子（PZT）からラム波を発生させ、重ね接着部（増厚部）におけるガイド波の波形を探触子で測定した。IF処理によって再入射波形を取得してPZTから再入射することで、増厚部上にガイド波が時間的・空間的に集束することを示した。さらに、ガイド波集束に関する3次元波動伝搬解析を行い、IF法に基づく接着構造の健全性評価に向けて必要となる基礎的な知見を得た。
本研究課題はガイド波による接着構造の健全性評価法の構築を目的としたが、ガイド波のみならずバルク波による接着特性評価の高度化に向けても有用な知見が得られたと評価している。これらの結果に基づき、今後は接着条件や接着層厚の異なる試験片に対する検討によって、提案手法の有効性をさらに調べる必要があると考えている。
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