研究課題/領域番号 |
18K13664
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐々木 大輔 久留米工業高等専門学校, 材料システム工学科, 助教 (50772498)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 疲労破壊 / き裂進展 / 補修 / プラズマ焼結 / 焼結物 / くさび効果 |
研究実績の概要 |
2019年4月から2020年3月までは、申請者が発案し予備的な実験により実現可能性が確認されているプラズマ法とペースト法を融合させたプラズマ・ペースト法による疲労き裂補修技術を,これまでのプラズマ法の補修サイズの10倍以上にあたる模擬き裂に対して適用し,その疲労き裂進展抑制効果を調査,解明した. 2018年4月から2019年3月までは,S45C材において以下6点が確認された.1)プラズマ焼結時の模擬き裂先端の温度は,現在の試験片で最大で550℃程度まで上昇することが確認された.2)疲労試験の結果,熱処理材,プラズマペースト材,未処理材よりも微粒子プラズマ材の疲労寿命が長くなることが確認された.3)光学顕微鏡を用いた模擬き裂部の充填率確認の結果,充填率はプラズマペースト材,微粒子プラズマ材でいずれも十分でないことが確認された.4)電子顕微鏡を用いた破面観察結果より,破面に観察されるストライエーション幅は微粒子プラズマ材で最も小さいことが確認された.5)組織観察結果より,結晶粒径に大きな違いがなく,現在のプラズマ焼結条件では,結晶粒の粗大化が起こらないことが確認された.6)疲労き裂進展速度が微粒子プラズマ材の場合,未処理材の2分の1まで遅くなることが確認された. 上記の結果に加えて,新たに以下の7点が解明された.1)SS400材においては,プラズマペースト法を使用すると寿命が低下する場合が存在すること,2)充填率が上昇すると疲労き裂進展速度が低下すること,3)焼結が進むと疲労き裂進展速度が低下すること,4)硬さ試験により,き裂先端の硬さは未処理材が一番高く,充填率高くなると硬さの低下が少なくなること,5)熱処理によりき裂先端の硬さはHV10程度低下すること,6)脆性破面率が熱処理により上昇すること,7)き裂進展速度が上昇する場合は,脆性破面形成が大きく影響していることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定した補修試験,疲労試験,硬さ試験,破面解析を達成でき疲労寿命の延命にすでに成功している,加えて,元素分析,新規材料への研究に展開しているため計画以上に進展していると考える.令和2年度は有限要素法を用いて力学的にプラズマペースト法の効果を解明する.
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今後の研究の推進方策 |
上記の有限要素法による研究をすすめる.研究設備体制が十分に構築されたため,作業の効率化を行う.特に,疲労試験片の研磨には時間を要するため研磨機の作成を行う.学会発表,論文投稿を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
他の外部助成金により実験用備品,試験材料等の経費がまかなえたため.
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