研究課題/領域番号 |
18K13665
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
王 慶華 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (20726856)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 微小ひずみ / 残留ひずみ / 熱変形 / 半導体 / 画像処理 / 全視野計測 / 位相解析 / 非破壊評価 |
研究実績の概要 |
高温で動作する電子デバイスの開発にとって、熱ひずみによる破損を防ぐため、マイクロサイズの正確なひずみ・残留ひずみ分布計測が極めて重要である。本研究では、半導体デバイスの壊れにくい材料設計指針および欠陥発生率の少ないプロセスの確立への貢献を目指し、微小ひずみ・残留ひずみ分布測定のための新たな光学画像処理技術の開発に関する研究を進めている。本年度の研究目標は新規光学的計測手法の開発と加熱装置の設計であった。本年度の主な研究成果は次の通りである。 1) 微小格子を利用したモアレ法とフーリエ変換の融合による、広視野かつ高精度な2次元微小ひずみ・残留熱ひずみ分布の計測技術を開発した。従来のモアレ法と比較してせん断と残留ひずみの測定誤差を大幅に低減させることができた。さらに、汚れの影響を受けにくい微小ひずみ・残留ひずみ分布測定のための局部位相接続アルゴリズムを開発した。 2) デバイスの一種であるフリップチップの断面に微小格子を作製するために、UVナノインプリント装置に設置するクランプ冶具を設計し、レーザー顕微鏡下でのin-situ加熱装置を作製した。試料形成温度に対する他の温度でフリップチップのアンダーフィル材の残留熱ひずみ分布の初期測定を行った。 3) 開発した画像処理技術を原子欠陥検出と原子ひずみ測定に適用し、トランジスタのSiとGaNの原子配列の透過電子顕微鏡画像から、ナノスケールでの原子転位分布とひずみ分布の定量的評価を実現した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って研究は進展している。本年度の目標としていた新規光学的計測手法の開発と加熱装置の設計に成功した。開発したモアレ法とフーリエ変換の融合法よる2次元微小ひずみ・残留ひずみ分布の測定精度はシミュレーションから検証した。また、レーザー顕微鏡での加熱装置の設計について、加熱実験における薄片試料断面の格子画像をin-situ記録することに成功し、順調に進んでいる。更に、次年度に使用するフリップチップ試料は作製済みであり、次年度のひずみ分布測定実験を円滑に行うための準備が整っている。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は、開発した微小ひずみ・残留ひずみ分布測定技術を改良し、レーザー顕微鏡下での加熱装置による標準試験片のひずみ測定の検証実験を行う。フリップチップのアンダーフィル材の残留熱ひずみ分布測定、及びトランジスタのSiとGaN原子配列のひずみ・欠陥分布測定について、当初の計画に沿って進める予定である。また、低温でのフリップチップの微小ひずみ・残留熱ひずみ分布の測定も試みる。
|