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2018 年度 実施状況報告書

複雑形状に対する表面粗さ向上を実現するジャイロ式バレル研磨の理論構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K13668
研究機関金沢大学

研究代表者

橋本 洋平  金沢大学, 機械工学系, 助教 (30456686)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードバレル研磨 / ジャイロ式バレル研磨 / 複雑形状 / 表面粗さ向上技術
研究実績の概要

バレル研磨は,複雑形状であっても比較的容易に表面粗さ向上が可能という他の加工法にない特徴をもつ一方,加工現象に直結する加工物と砥粒の相対運動の理解は困難であり,現状では勘と経験に頼ったプロセスである.このため,本研究では加工物に強制的に運動が与えられることから,理論構築が比較的容易であると考えられるジャイロ式バレル研磨に着目し,加工物と砥粒の相対運動に基づく理論構築に取組む.また,ジャイロ式バレル研磨の高いプロセス制御性に着目し,加工量分布の制御手法の検討にも取組む.
当該年度では,まず実験的検討を行うに資するジャイロ式バレル研磨装置を製作した.そして,加工物と砥粒の相対運動を理解する上で不可欠である,バレル槽表面に現れる砥粒の挙動および高さ分布の観察,加工物と砥粒の接触力の計測も可能とした.
また,本開発装置を活用した,加工物のバレル槽内での設置位置による加工物と砥粒の接触力の違いの評価を行い,加工物設置位置がバレル槽の外側面および底面に近いほど研磨速度が向上することを明らかにした.さらに,各種加工条件を変化した実験の中で,加工物上方に存在する砥粒量が研磨速度に直結することを明らかにした.
上記のように,ジャイロ式バレル研磨の理論構築の一環である,研磨速度に対する影響因子の解明は順調に進んでおり,今後更なる評価を可能とするためにDEM(Discrete Element Method, 個別要素法)を活用し,バレル槽内の砥粒挙動の詳細検討も進めていく.また,これまでの研究によって明らかとなった理論に基づく技術開発を行い,ジャイロ式バレル研磨の性能向上を試みるとともに,加工量分布の制御手法の向上技術の実証検討も実施していく.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度において,実験的検討を行うに資するジャイロ式バレル研磨装置を製作した.そして,加工物と砥粒の相対運動を理解する上で不可欠である,バレル槽表面に現れる砥粒の挙動および高さ分布の観察,加工物と砥粒の接触力の計測も可能とした.また,解析的検討に活用するDEM(Discrete Element Method, 個別要素法)の解析環境を構築するとともに,基本的な技術を習得した.
さらに,加工物のバレル槽内での設置位置による加工物と砥粒の接触力の違いの評価を行い,加工物設置位置がバレル槽の外側面および底面に近いほど研磨速度が向上することや,研磨速度が加工物上方に存在する砥粒量に直結することを明らかにしており,バレル研磨の理論構築も順調に進展している.
当初計画と比べ,「理論構築」と「加工物と砥粒の相対運動の解明」の進行順は逆となっているが,理論構築では確実に成果が出ているとともに,相対運動解明のための準備は着実に進んでおり,研究は順調に進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

今後,DEM(Discrete Element Method, 個別要素法)を活用し,加工物と砥粒の相対運動の詳細評価に取組み,この相対運動に基づく研磨速度分布の推定技術の確立を行う.なお,解析手法の精度向上のために,実験によって得られるバレル槽表面に現れる砥粒の挙動および高さ分布との比較検討を行う.また,解析ソフトの開発者とのコンタクトも既に取れており,必要に応じて開発ソフトの改良等も実施する予定である.
更に,これまでの研究によって明らかとなった理論に基づき,ジャイロ式バレル研磨の性能向上技術が数点着想されている.このため,これらの技術の実証確認を行うとともに,バレル研磨の活用範囲を更に広げる,加工量分布の制御手法の向上技術の実証検討も実施していく.

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公開日: 2019-12-27  

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