本研究では,データマイニング手法の1つであるランダムフォレストを用い,決定が困難な砥石要素の中でも,砥粒の種類,粒度および結合度を被削材物性値の組み合わせから決定できるシステムの構築を行った.また,構築したシステムの有用性の検証を行うため,システム推奨砥石および比較用砥石を用い,一般構造用炭素鋼および難削材料を対象として研削実験を行った.学習の精度の評価を行うことにより,従来の決定木手法と比較し,本研究で採用したランダムフォレスト手法の砥石決定は高精度かつ汎用性が高いシステムであることが明らかになった.また,本システムにおいて,学習データベースの更新を行うことで,より多種多様な被削材に対応可能なシステムの構築が行えることがわかった.本システムにおいて,学習データに内挿的な物性値組を追加することで高精度な内挿予測を行うことが可能であることが明らかになった.一般材として2種類のSC材を用いた研削実験において,研削比で評価した場合,各被削材に対してそれぞれ適した砥石の選定が行えたことより,本システムは被削材の細かな物性値の違いに対応できるシステムであることが示された.学習データベースに存在しない難削材であるインコネル718の研削実験において,システム推奨砥石であるPA砥石の砥石摩耗量は,一般的に用いられるWA砥石と比較し12%減少したことから,ランダムフォレストによって構築した本システムの有用性の検証が行えた.
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