• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

新たな手法として気体爆轟を用いた爆風シミュレータ:実現象再現度の飛躍的向上

研究課題

研究課題/領域番号 18K13681
研究機関埼玉大学

研究代表者

前田 慎市  埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60709319)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード気体デトネーション / 爆風波 / 衝撃波
研究実績の概要

(1)単純な直管形状から成るデトネーション駆動部と爆風管から成る基本装置を構築し、デトネーション駆動部で起爆した気体デトネーションによって爆風管内の大気中へ平面状爆風波を生成可能にした。爆風の最大過剰圧の減衰過程に着目して調査した結果、気体デトネーションの条件(つまり、デトネーション駆動部に充填した可燃性混合気の組成や初期圧力)だけでなく、最大過剰圧はデトネーション駆動部の長さにも大きな影響を受けることが分かった。これらの条件における最大過剰圧の減衰曲線を統一的に評価するため、本研究の手法に適した換算距離の定式化を行った。これにより、爆風シミュレータの形状や作動条件に対して、爆風圧力がどのように変化するかを予測できる目処を得た。
(2)既燃ガスの発光を光センサで捉えることにより、爆風波後方の既燃ガスの流動を計測した。より理想的な(つまり、衝撃波背後で急激な圧力降下を伴う)爆風波形の生成には、気体デトネーション後方の既燃ガスを可能な限り爆風管の下流方向へ流入させないことが重要であることが分かった。デトネーション駆動部の端部を起爆後に真空チャンバへ開口させることで、既燃ガスの影響を減じる手法を構築し、その有効性を確認した。
(3)デトネーション駆動部に圧縮ガスを充填した単純衝撃波管実験を行った。圧縮ガスの組成(空気、ヘリウム、アルゴン、六フッ化硫黄)および圧力を変化させることで、より分子量の大きい圧縮ガスを用いるほど、衝撃波背後に大きな負圧領域が形成される傾向にあることが分かった。これにより、負圧領域の形成に影響する駆動ガスの熱力学的条件、および衝撃波の気体力学的条件を考察できる目処を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

気体デトネーション駆動・爆風シミュレータの基本装置の構築が完了した。本装置で生成される爆風波に対する換算距離の定式化に成功しており、本装置で得られる爆風波の最大過剰圧特性を予測できる段階に至っている。加えて、理想的な爆風波形を得るための圧力プロファイル制御機構について、まずは簡易的な手法(デトネーション駆動部の端部を起爆後に真空チャンバへ開口)でその有効性を確認できている。単純衝撃波管実験も完了しており、その結果を踏まえた負圧領域形成条件の整理が現在進行中である。全体的にほぼ予定どおりの達成度が得られている。

今後の研究の推進方策

平成31年度は、爆風圧力プロファイル制御機構をより詳細に検討し、その結果を適用した爆風シミュレータを構築する。さらに、可視化観測部を製作してシュリーレン法と高速度カメラを用いた光学観測を導入し、本装置における爆風生成および爆風制御のメカニズムをより詳細に明らかにする。これにより、本研究の爆風シミュレータで再現可能な爆風条件の範囲を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
次年度製作する可視化観測部の形状に合わせて、デトネーション駆動部および爆風管を設計する必要が生じたため。
(使用計画)
デトネーション駆動部、爆風管、可視化観測部を含む爆風シミュレータ装置を製作し、現象の光学観測を可能とするために使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Effect of sandpaper-like small wall roughness on deflagration-to-detonation transition in a hydrogen-oxygen mixture2019

    • 著者名/発表者名
      Shinichi Maeda, Masashi Fujisawa, Shogo Ienaga, Keisuke Hirahara, Tetsuro Obara
    • 雑誌名

      Proceedings of the Combustion Institute

      巻: 37 ページ: 3609-3616

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.proci.2018.07.119

    • 査読あり
  • [学会発表] 5cm×5cmデトネーション駆動型爆風模擬装置測定部における流れ場の可視化2019

    • 著者名/発表者名
      岩崎 文彦, 加藤 明里, 森 美里, 前田 慎市, 小原 哲郎, 水書 稔治
    • 学会等名
      平成30年度衝撃波シンポジウム
  • [学会発表] 5cm×5cmデトネーション駆動型爆風模擬装置測定部における流れ場の評価2019

    • 著者名/発表者名
      加藤 明里, 森 美里, 岩崎 文彦, 沼田 大樹, 前田 慎市, 小原 哲郎, 水書 稔治
    • 学会等名
      平成30年度衝撃波シンポジウム
  • [学会発表] 障害物が流路壁面上に密に配置された場合の火炎加速とデトネーション遷移2018

    • 著者名/発表者名
      家永 翔伍, 平原 佳祐, 秋元 皓志, 前田 慎市, 小原 哲郎
    • 学会等名
      第56回燃焼シンポジウム
  • [学会発表] Effect of sandpaper-like small wall roughness on deflagration-to-detonation transition in a hydrogen-oxygen mixture2018

    • 著者名/発表者名
      Shinichi Maeda, Masashi Fujisawa, Shogo Ienaga, Keisuke Hirahara, Tetsuro Obara
    • 学会等名
      The 37th International Symposium on Combustion
    • 国際学会
  • [備考] 埼玉大学 大学院理工学研究科 機械科学系専攻 熱工学研究室

    • URL

      http://park.saitama-u.ac.jp/~netsu/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi