研究課題/領域番号 |
18K13682
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡邉 智昭 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70772292)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 乱流 / 密度成層流れ / 圧縮性流れ |
研究実績の概要 |
乱流・非乱流界面を伝播する内部重力波や圧力波を調査することを目的として研究を実施した。内部重力波を誘起しつつ発達する安定密度成層中の混合層の直接数値計算を行い、乱流・非乱流界面層を介して外部に内部重力波が形成される過程を明らかにした。超音速噴流、超音速境界層の直接数値計算を行い、乱流内で生成された圧力波が乱流外部へ伝播することを確認した。亜音速の噴流・混合層・境界層の直接数値計算も合わせて行い、超音速流れや安定密度成層中の混合層の数値計算結果と比較することで、圧縮性や浮力が乱流・非乱流界面の特性に及ぼす影響を明らかにした。また、非乱流領域から乱流領域に入射する衝撃波の直接数値計算を行った。高乱流マッハ数の乱流中では衝撃波面が大きく変形することが示された。埋め込み境界法を用いた直接数値計算・ラージエディシミュレーションのコードを開発し、翼周りの流れや円柱後流の数値計算を実施した。これらの数値計算には、海洋研究開発機構や名古屋大学所有のスーパーコンピューターを用いた。こうした直接数値計算データベースのさらなる解析のため、乱流中から強いせん断領域を抽出する手法を開発した。また、乱流中で生じる物質の分子混合のモデル化手法を提案し、乱流中の物質拡散を低計算コストで予測する手法を開発した。温度成層化で発達する乱流の実験に用いる速度成層を伴う乱流生成装置を開発した。また、ピストンを用いた超音速乱流噴流形成装置を開発し、複数の超音速噴流間の干渉について調査した。さらに、トレーサー粒子やシャドウグラフ法による乱流の可視化計測システムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画していた数値計算を実施するためのコードの開発が終了した。また、既存のコードを用いて行う予定だった数値計算も実施され、計算結果の解析も順調に行われている。実験装置の製作も順調に行われている。これらの成果のいくつかは既に学術論文や国際会議で発表されているため、研究は当初の計画以上に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度には密度成層乱流や圧縮性乱流の大規模直接数値計算データベースが構築された.今後はこのデータベースの統計処理を行い、乱流・非乱流界面層を伝播する内部重力波や圧力波の特性を調査する。内部重力波や圧力波を特徴づける長さ・時間スケールと乱流・非乱流界面層の厚みや層内の乱流の時間スケールの比較から、内部重力波あるいは圧力波と乱流・非乱流界面層の干渉を明らかにすることを試みる。また、乱流内の回転、せん断、歪みに関わる流体運動と乱流内での圧力波の生成を調査することで、乱流による強い圧力波の生成過程を明らかにすることを目指す。さらに、製作した速度成層を伴う乱流生成装置に温度成層生成装置を組み込み、温度成層下で発達する乱流を実験的に調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018度製作予定だった装置の一部を2019度に製作するため。学会参加回数が予定より少なかったため。
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