研究課題/領域番号 |
18K13683
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩野 耕治 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20750285)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 乱流境界層 / 大規模構造 / バースト現象 / 抵抗低減 |
研究実績の概要 |
本研究では風洞実験により大規模構造の発生・維持機構を解明し,新規の抵抗低減手法の指針を見つけることを目指す.本年度は,主に乱流境界層内に人工的に大規模構造を生成するためのプラズマアクチュエータデバイスの制作に取り組んだ.本研究で制作したデバイスは,2つのプラズマアクチュエータを対向させることで,アクチュエータ間に渦を生成する機構となっている.さらに,このユニットを一列に複数並べることにより,複数の渦を同時に生成することができる. 実際に,PIVを用いて速度場の面情報を取得することにより,縦渦がプラズマアクチュエータの間に生成されることが確認された.また,このデバイスは厚みが0.3mm程度と非常に薄いため,乱流境界層が生成される風洞の壁面に直接に設置することができ,大規模構造の直接的な制御が可能である.一方,10点で同時に主流方向瞬時流速を測定可能な櫛形の熱線流速計プローブを用いた実験により,乱流境界層中に自然発生する大規模構造が壁面近傍のバースト現象に及ぼす影響の調査も進めた.その結果,壁面近傍においてバースト現象として検出される乱れの一部は,大規模構造と同程度のスケールを持つヘアピン渦に起因するものであることが明らかとなった.また,ヘアピン渦はそれらが複数集まったパケット構造を作り出すことも明らかとなった.さらに,バースト現象は高速の大規模構造の下流側に連続して発生する確率が高いことも明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究を遂行し,平板乱流境界層中の大規模構造を制御可能なプラズマアクチュエータデバイスの開発に成功したことに加えて,乱流境界層中に自然発生する大規模構造と壁面近傍のバースト現象との関係に関する新たな知見も蓄積されたため.
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今後の研究の推進方策 |
大規模構造が小規模渦構造のクラスタリングにどのように影響を与えるかを理解するために,自作したプラズマアクチュエータデバイスを乱流境界層内に設置し,人工的な大規模構造を導入する風洞実験を行う.人工的に導入した大規模構造が小規模渦クラスタリングに及ぼす影響は多点速度計測により調査する.さらに,X型熱線プローブによりレイノルズ応力を測定することにより,小規模渦のクラスタリングが壁面摩擦に及ぼす影響も調査し,壁面摩擦低減に効果的な大規模渦構造の制御手法の指針を提案する.
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