研究実績の概要 |
レーザー蛍光誘起法を用い,粒子体積と矩形容器の傾斜角度をパラメータとして連続相速度場を計測した.分散体が清澄分離した際の清澄層厚さを基準とした液膜フルード数と,液膜の乱れ強度を用いて現象を整理した.その結果,本研究課題である,分散体群が自己流動化する際の非定常流動の発現は,分散体の清澄分離に伴い自己誘起対流が生じた際に生じる「密度流の慣性-重力不安定現象」であることを発見した(Watamura, Iwatsubo, Sugiyama et al., Sci. Rep., 9, 5718 (2019)).なお,本結果は英国Nature誌の姉妹誌であるScientific Reportsの2019年「年間閲覧数Top50」にランキングされた. また,分子タグ法を用いた「分散混相流の二相時空間速度同時計測手法」の開発を完了した.その結果,粒子懸濁液が自己集団流動化する際に生じる非定常波動の出現には,平均粒子間距離と清澄層厚さの比である粒子濃度界面の解像度が十分小さいことも必要であることが明らかにした(Koyama, Watamura, and Sugiyama, Exp. Fluids, 60, 148 (2019)). 分散体群の自己組織構造が空間発達する要因を調査するため,高さ1.5m程度の大型容器における気泡の空間分布と速度分布計測を行った.その結果,気泡群がO(100)程度の有限レイノルズ数となることから,気泡群の吸引と反発が自己組織構造の空間発達に寄与すると結論付けた(Watamura, Kitaga, Murai, Chem. Eng, Sci., 208, 23, 115132 (2019)). 上記に加え,数値シミュレーションを開発し,分散体群の自己集団流動の再現に成功した(吉岡,渡村,杉山,混相流,34,1,pp.205-212 (2020)).
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