研究課題
若手研究
流体中に分散した無数の粒子や気泡など密度差をもつ物体が重力に従って運動する際に生じる粗密分布構造の形成を対象に研究を実施した.レーザ誘起蛍光法と画像速度計測ならびに分子タグ速度計測法を用い,高濃度粒子流の液相速度分布を取得した.時空間速度分布から速度変動強度と分散体相対速度を求めた.その結果,懸濁液の自己集団化流動は,慣性重力不安定性による転波の出現,ならびに濃度界面の解像度が示す清澄分離の鋭敏さにより決まることを明らかにした.
流体力学
分散体と連続相との間に生じる密度差に起因する密度対流すなわち集団運動の発現や非定常流動が生じる力学を実験的に明らかにした.得られた成果は英国Nature誌の姉妹雑誌であるScientific Reportsに掲載され,2019年 Most Downloaded 50 を記録した.本研究で議論した現象の物理的な解釈と無次元数による整理は,分散体の集団的な挙動の予測や制御する上で重要な知見と言え,タンパク質や金属結晶の成長や細胞の培養に役立つと期待できる.