研究課題/領域番号 |
18K13691
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
寺島 修 富山県立大学, 工学部, 准教授 (50570751)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 流体起因振動 / 流体起因騒音 / スマートマテリアル / モード解析 / PIV / 渦構造 / 後流 / 能動制御 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、弾性体の空力振動騒音の発生機構の解明とソフトスマートマテリアルを利用した制御技術の構築に向け、(1)低騒音風洞での大変形弾性体後流の流れ場と発生音の関係解明による理解、(2)磁気応答性エラストマを用いた振動制御技術の高度化、の2点を行いました。 (1)では、風洞試験装置を用いて大変形弾性体の後流の速度場の計測と発生音の計測を同時に行い、音の発生に寄与する流れ場,渦構造の特定を行いました。その結果、弾性体の後流に規則的な渦列構造が形成される際に、音の発生に強く寄与する弾性体の下流端部よりやや上流側の部位の振動が大きくなることが明らかになりました。また、この渦列構造のスパン方向の長さや規則性は主流速度に比例せず、ある流速で最もスパン方向長さが長く、規則性が高くなった後は、流速の増加に伴い減じることがわかりました。これらの結果は、弾性体から発生する音の大きさが流速に比例しない点とも矛盾しません。さらに、発生音が大きくなる際の渦列構造は二次元噴流中に見られるコヒーレント構造の一つであるフラッピング現象と似たものであり、このようなコヒーレント構造の存在が発生音に大きく寄与することが明らかとなりました。これらの成果をまとめて学術論文として投稿し、採択されました。また、国内、国際学会にて複数件の口頭発表を行いました。 (2)では、スマートマテリアルの一つである磁気応答性エラストマを用いた振動制御技術に関し、令和元年度までに考案した制御技術とデバイス構造の更なる高度化に取り組み、デバイスのケーシングの樹脂化による軽量化や、楕円型の磁気応答性材料を用いた二方向制振のためのデバイス構造の考案と効果検証、流速情報を基にしたフィードフォワード型の制御アルゴリズムの検討を行い、提案、考案した手法の振動制御手法としての妥当性を確認しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の計画通りに進展しているため
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和3年度は、PIV計測システムを用いた大変形弾性体の変形量と発生音と流れ場の同時計測を行い、弾性体の上面、下面、スパン方向端部周囲の流れと弾性体の変形や発生音との関係を明らかにする。また、ポリフッ化ビニリデン強誘電材料(PVDFによる大変形弾性体の能動型振動制御に取り組み、研究を終了する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ASME IMECE 2020およびICSV 27への渡航・発表のための旅費を確保していたが、オンライン開催または中止となり、渡航することが無くなったため次年度使用額が生じた。最終年度である令和3年度も海外渡航は難しいため、アクチュエータ制御用デバイスの高度化などの物品費に費用を充てる予定である。
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