研究課題
固体や液滴、気泡などの形態をとる粒子群の集団挙動の予測は、雲の形成過程といった自然現象の解明や微粉炭燃焼発電といった産業応用に関わる非常に重要な技術である。粒子群の集団挙動予測においては、粒子拡散の影響を粗視化した流れ場情報に基づくモデルで記述する必要があるが、そのような方法は確立されておらず、また粒子サイズや乱流構造の影響などについても不明な点が多い。そこで数値シミュレーションを用いて、背後の乱流構造の非等方性が粒子拡散に与える影響を調べた。工学的応用を意図して、大規模な乱流に対して最小渦スケール粒子との相互作用を調べた。このような大きさの無視できない粒子については、従来の質点近似モデルの適用は不適切と考えられる。そこで2019年度までに、粒子サイズの影響を考慮できる粒子-流体相互作用モデルを構築し、その妥当性を既往研究との比較によって確認した。2020年度は、時空間的な平均流れが等方的な場とサインカーブで与えられるような場についての数値シミュレーションを実施し、背後の流れの非等方性に応じて、粒子の拡散挙動を記述するのに適当なモデルが変化することを明らかにした。粒子径を変化させることで、流れに対する粒子追従性の違いが粒子拡散の度合いに与える影響についても明らかにした。また粒子が流体に与える影響を考慮することが結果に質的な影響を与えることを明らかにし、粒子-流体相互作用モデルの重要性を確認した。以上の結果は実用的な粒子拡散モデルを構築する指針となる。
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Flow, Turbulence and Combustion
巻: 105 ページ: 1017~1034
10.1007/s10494-020-00142-0