研究課題/領域番号 |
18K13706
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
矢吹 智英 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70734143)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 沸騰熱伝達 / MEMS / 熱流束センサ / 局所熱流束 / ミニチャネル |
研究実績の概要 |
今年度は,昨年度開発した,積層型MEMS熱流束センサを用いて0.3MW/m2~0.9MW/m2の熱流束範囲でミニチャネル内流動沸騰実験を実施し,10kHzの計測周波数で伝熱面上の局所熱流束を計測することができた.熱流束センサは約100ミクロン角サイズの二つの薄膜測温抵抗体が2ミクロン厚さのSU-8層をはさんで積層された構造をもち,熱流束計測に対するカットオフ周波数は10kHz程度である.熱流束データからは,チャネル壁に拘束された細長気泡の底部に形成される薄液膜の蒸発による,ドライアウト,乾き面のリウェッティングが明瞭に観察された.薄液膜の蒸発,リウェッティングの過程では1MW/m2を優に超える高い局所熱流束が計測された.リウェッティング伝熱については,液相過渡熱伝導のモデルで熱伝達率の時間変化の傾向を表現できることがわかった.得られた局所熱流束を時間的に積分して伝達熱量を割り出し,可視化結果と対応付けることで各種伝熱素過程(薄液膜蒸発,ドライアウト,リウェッティング,液単相対流熱伝達)の全熱輸送量に対する寄与を割り出した.時間平均の気相率が低い低熱流束域あるいは上流域では液単相対流熱伝達が支配的で,気相率の高い熱流束条件や下流域では液膜の蒸発が支配的な伝熱形態であることがわかった.また,高熱流束域で下流が環状流の様相を示す条件においては上流で形成された気泡の高速な成長によって駆動される下流域への興味深い液供給現象も観察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度開発したMEMS熱流束センサを使用して実際にミニチャネル内流動沸騰における壁面局所熱流束を計測することができ,伝熱特性を議論できるデータが得られた.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,沸騰伝熱面上に加工した超親水微細表面構造内でのキャピラリ流れが伝熱促進につながるメカニズムを明らかにする.超親水化は表面にSiO2を成膜したSU-8マイクロピラー群で実現する.
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