研究課題
昨年度までに,開発した積層構造のMEMS熱流束センサを用いてミニチャネル内流動沸騰における局所熱輸送特性を詳細に観察した.本年度は,壁面熱輸送の時空間分布を詳細に観察して支配的な伝熱機構を特定したり気泡成長機構を調べたりするために,高速度赤外線カメラを用いてミニチャネル内流動沸騰における壁面温度を4,000fpsで観察し,局所熱輸送分布を解析した.得られた温度分布や熱流束分布からは薄液膜蒸発,対流,リウェッティングなどの伝熱素過程を詳細に観察することができた.現在,熱輸送分布の画像解析により各種伝熱素過程の総伝熱量への寄与を評価している最中である.気泡成長機構については,気泡が小さい時間帯では薄液膜に触れている気泡の表面積が気泡の総表面積に占める割合が小さいため気泡は周囲の過熱液の蒸発で主に成長するが,気泡が成長して扁平で細長い形状になり壁面上を広く覆うと,薄液膜蒸発が気泡成長に必要な大部分の潜熱を供給していることが示された.ほかにも,伝熱劣化の要因になる乾きの発生の特徴や,上流部での核生成と気泡成長による乾き面への液供給過程を詳細に観察することができた.昨年度までの結果も踏まえると薄液膜の面積の増大と乾き面積の減少が高熱伝達率の実現に有効であるといえる.人工発泡点などを用いた上流における核生成の促進によって薄液膜面積を増やすとともに気泡の更新頻度を増やすことで熱伝達率促進(乾きによる熱伝達劣化の抑止)が実現できると考えられる.
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Experimental Thermal and Fluid Science
巻: 121 ページ: 110285~110285
10.1016/j.expthermflusci.2020.110285