電子機器の冷却などを用途に持つ微小流路内の流動沸騰における熱伝達メカニズムを,微細な熱流束センサを集積したMEMSセンサや高速に温度場・熱輸送場が取得できる高速度赤外線カメラを用いて調べた.沸騰時の壁面上で生じる伝熱素過程の様子を詳細にとらえることに成功し,気泡下に形成される薄液膜の蒸発が支配的な伝熱素過程であり,対流やリウェッティングに伴う熱輸送量は小さいことが示された.本研究の結果を踏まえると,人工発泡点などを用いた上流における核生成の促進によって薄液膜面積を増やすとともに気泡の更新頻度を増やすことで熱伝達率促進(乾きによる熱伝達劣化の抑止)が実現できると考えられる.
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