研究課題/領域番号 |
18K13708
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
河野 貴裕 芝浦工業大学, 工学部, 助教 (30801790)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光線治療 / アトピー性皮膚炎 / 光物性 / 紫外線 / ふく射伝播 |
研究実績の概要 |
アトピー性皮膚炎に対する紫外線療法は,有効な場合の高い治療効果が注目され,臨床研究が進められている.しかし,治療が有効でない場合が多く,その原因は明らかにできていない.紫外線療法は皮膚内部への光の浸透深さが重要だと考えられているが,従来の研究では臨床研究による症状観察が中心で,皮膚内部での光の浸透深さの詳細な分析が行えていない.そこで本研究では,紫外線波長域における皮膚の光物性を明らかにし,治療原理の根本とされている光の浸透深さを明確化することを目的とする.ここでは,申請者らがこれまでの研究で得た可視・近赤外光での皮膚における光伝播の知見のもと,(1) 紫外線波長域における光物性計測装置の開発,(2) 健康な人及びアトピー性皮膚炎を持つ皮膚の光物性計測,(3) 計測した光物性から光の浸透深さの解析,を行う. H30年度では,(1)の紫外線波長域における皮膚の光物性計測装置の開発を進め,設計および発注を完了した.また,この光物性計測装置の開発に合わせて,紫外線波長域での計測に使用するソフトウェアの開発と,研究計画の(3)に当たる光物性を元にした皮膚内部でのふく射伝播解析の手法に関しての研究を進めた.ふく射伝播の解析手法の研究により,紫外線波長域の装置が完成し,光物性の計測が行えれば,本研究での最終目的となる光の浸透深さについての分析を迅速に行える環境をつくれた. これらの計測装置および解析に関する研究と並行し,H31年度初頭から計測の準備として,所属する大学での倫理審査を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,研究目的を達成するために必要な項目の(1)にあたる紫外線波長域における皮膚の光物性計測装置の設計および発注が完了した.また,(3)で予定していた解析に関する研究も進めることができている.
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今後の研究の推進方策 |
研究は当初の予定通り進んでおり,(1)の装置が発注先より届き次第,(2)に当たる人の皮膚の計測を行っていく.ここで計測した人の皮膚の光物性を基に紫外線の浸透深さに関する解析を行うことで,治療原理の根本とされている光の浸透深さを明確化していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
計測装置の開発は完了したが,機械加工への発注に関しての請求がH30年度には完了せず,H31年度への持ち越しとなったため次年度使用額が生じた.また,H31年度には,計測に関する謝礼と計測結果を学会発表する予定であるため,そのための使用額が残っている.
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