研究課題/領域番号 |
18K13709
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松木 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90634668)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高温化学反応 / 衝撃波管 |
研究実績の概要 |
高温化学反応の測定のための高繰り返し型衝撃波管の開発を行った。既存の従来型のピストン駆動式無隔膜衝撃波管装置の自動化と、新規の小型高繰り返し型衝撃波管の設計構築および試運転を行った。 前者については、既存装置のガス導入および排気系統を全て空気圧作動弁とし、マイクロコンピュータを用いた制御により、試料ガスの導入、高速ピストン駆動による衝撃波の発生、分光観測、観測結果のPCへの取り込み、および残ガスの排気といった、一連の実験操作を自動化した。これにより実験の繰り返し性と実験条件の再現性が向上し、実験データの質が向上した。本装置を用いて、広帯域吸収分光法による反応中間体の検出と組み合わせることで、炭化水素ラジカルの高温反応の測定を行い、特に芳香族ラジカルの反応について未知の反応経路を示唆する実験結果が得られた。 後者については、概ね5秒毎に繰り返し実験が可能な衝撃波管装置を構築した。本装置は内径を15mmとした小型の衝撃波管装置である。衝撃波発生機構はピストン駆動式であり従来の無隔膜衝撃波管装置と同様であるが、高い繰り返し頻度を達成するため、ガスの導入と排気を急速に行う機構を構築した。実験操作は全てマイクロコンピュータにより自動化されている。特に、律速となる排気の高速化のため、高速作動する大口径空気圧弁を設計し、効率的なガスの置換動作により、数秒間で残ガスをppmレベルまで低下させることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小型高繰り返し型衝撃波管装置の急速排気機構の動作速度を向上させる必要があると判明し、排気機構の改良を行う必要が生じた。また、衝撃波の発生に用いるヘリウムガスの入手性が不安定となっており入手に時間がかかるため、装置の試運転段階で実験に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
改良した急速排気機構の動作確認と試運転を行い、小型高繰り返し型衝撃波管装置を用いた高温化学反応の分光観測を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
開発中の実験装置である小型高繰り返し型衝撃波管に用いる急速排気機構を改良する必要が生じ、改良設計に時間を要したため、当該部品を含む装置部品の調達に遅れが生じた。装置部品類の設計は完了しており、次年度使用額により調達する予定である。
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