研究課題/領域番号 |
18K13709
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松木 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90634668)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高温化学反応 / 衝撃波管 / 過渡吸収分光法 / レーザー誘起蛍光法 |
研究実績の概要 |
無隔膜衝撃波管装置を用いた高温反応の研究と、課題初年度に設計開発した小型高繰り返し型衝撃波管装置の改良と検証を行った。 前者については、これまでに実装してきた実験操作の自動化により、得られるデータの質が向上し、芳香族化合物やラジカルの高温反応を従来より高感度に追跡することが可能となった。また、これまで測定していたベンジルラジカルの熱分解反応について、速度論的解析を行いその分解反応経路を提案した。 後者について、衝撃波発生の基礎動作はこれまでに完成しており、本年度は化学種の分光観測を行う観測部の開発を行った。紫外過渡吸収分光法および時間分解レーザー誘起蛍光法を実装した。吸収分光法では、フッ素化合物の熱分解により生じるCF2ラジカルを定量的に検出することにより、反射衝撃波背後のガス密度および温度の検証を行った。その結果、入射衝撃波背後で成長する境界層による影響を考慮した方法により、ガス密度および温度を正確に計算できることを確認した。また、積算能力の検証として、高希釈した前駆体を用いてベンジルラジカルの熱分解反応の測定を行った。信号のシグナルノイズ比は積算回数の平方根に比例して向上し、単発の実験では検出以下である条件でも、千回を超える積算により精密な過渡吸収プロファイルを得ることが可能となった。レーザー誘起蛍光法では、衝撃波の入射とレーザー照射のタイミングを同期させることによって時間分解した信号プロファイルを取得する。この手法をトリフルオロメタンの熱分解反応に適用し、その速度定数を正確に測定できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
衝撃波の発生に用いるヘリウムガスの入手性の問題により、新規開発した装置の検証実験にやや遅れが生じた。装置の検証自体は完了したが、本装置を用いて行う実験の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新規開発と検証を完了した小型高繰り返し型衝撃波管装置を用い、高温化学反応の分光観測を行う。観測には主に過渡吸収分光法を用い、炭化水素ラジカルの高温反応を測定対象とする。また、これまでに実装したレーザー誘起蛍光法の改良を予定している。具体的には、散乱光の影響を抑えるよう光学配置を改良し、検出感度の向上を行う。また、本手法を用いて芳香族化合物の検出を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に用いるヘリウムガスの入手性に問題が生じたため、一部の実験が遅れ、それに伴いガス試料類および一部の光学部品の調達に遅れが生じた。次年度使用額は、ヘリウムガスを含む試料類および分光観測のための光学部品の調達に使用する予定である。調達する予定である。
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