1.ヘリウム漏れを考慮した流体起因振動補償のための適応制御方式の提案:現行のHDDは流体起因振動を補償するため大気より気体密度の小さいヘリウムが封入されているが,経年とともにヘリウムが漏れる可能性がある.ヘリウム漏れはHDD内部の振動を増大につながるが,本手法はその影響を最小限に留めることができる.これは,HDDの磁気ヘッドの動作量の低減,つまり消費電力の低減に貢献するものである.(成果物:英文論文誌1件) 2.データサーバで発生する音起因の外部振動を補償する制御方式の提案:データサーバ内で稼働するHDDにおいて,機器動作時に発生する動作音や異常を知らせるブザー音などで突然の外部振動に晒される可能性がある.それによりHDDの磁気ヘッドが振動し,ヘッドの動作量の増加に伴う電力消費量の増大が懸念される.本研究では音起因の振動を自動検知し,それを補償する制御方式を開発した.本手法により,振動発生下においても振動が無い状態と同等の位置決め精度を維持することができる.(成果物:英文論文誌1件) 3.データサーバ環境下における機構系のストローク量を考慮した制御系設計の提案:現行のHDDは位置決め精度の向上のため,Voice coil motor (VCM) とピエゾアクチュエータ(PZT)を用いた2段アクチュエータ方式が用いられている.データサーバ環境下においては,発熱を抑えるためのファンから発生する振動や,前述の音起因の振動など,様々な外力に晒される.それらの振動により微動用のPZTアクチュエータに対し,最大ストロークを超える制御信号が要求される可能性がある.そこで,本研究ではPZTのストローク量を考慮した制御系設計を提案した.データサーバを模擬した装置に応用したところ,従来手法と比較して約30%程度位置決め精度を向上できることを確認した(成果物:英文論文誌1件,国際会議論文1件).
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