昨年度は導電体を用いたセンシングに関する研究として、非対称導電パターンを用いた変形形状推定と、柔軟導電体を用いた近接・接触センシングについて研究した. まず、非対称導電パターンを用いた薄板状弾性体の変形形状推定に関して、導電パターンの抵抗値モデルを必要としない推定方法を提案・検証し、成果を国際会議2020 IEEE RCARにて発表した.研究内容が評価され、同会議においてBest Paper in Robotics Award Finalistを受賞した. また、柔軟導電体を用いた柔軟な近接・接触センシングの研究に関して、可変剛性リンクへの導入とその剛性制御方法についてまとめた.柔軟近接・接触センサは、ソフトロボットの柔軟性を損なわずにそれらへの導入が可能である一方で、電極に加わる圧力や変形がどのようにセンサ値に干渉するかは未解明である.本研究では可変剛性リンクの表面に柔軟近接・接触センサを設置し、電極に加わる圧力とセンサ信号の関係について実験的に明らかにした.その結果、印加圧力はセンサ値に干渉するものの、物体の近接や接触の判定には影響を及ぼさない程度であることを確認した.その後に、センサの導入先を可変剛性リンクで構築した協働ロボットアームに拡張し、人間の近接の程度に応じてその柔軟性を制御する方法を構築した.また、近接・接触センサにはセンシングのために基準値を設ける必要があり、この基準値はロボットアームの姿勢に応じて補正する必要がある.従来の理論では1自由どの補正に限定されていた補正アルゴリズムを、他自由度の補正アルゴリズムに発展させ、より実用的なシステムへと構築した.これらの成果をまとめ、それぞれ国際会議IEEE/SICE Int. Symp. on System Integration及びIEEE Int. Conf. on Soft Roboticsに投稿し発表した.
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