本研究では、巻線を切り替えることで、極数ではなくモータの種類そのものを変更することにより、より高出力かつ高効率な自動車駆動用リラクタンスモータの実現を目指す。最終年度は、実証試験を想定した小型モデルの検討を行い、その後、検討を行ったモータの実機の静特性試験および無負荷による動作確認試験を行った。 はじめに、実証試験を想定した小型モデルの検討を行った。これまでの研究において使用してきたスイッチトリラクタンスモータのモデルで実機検証を行うことが理想ではあるが、既存設備では出力が大きすぎる。このため、既存の設備をなるべく流用でき、かつ想定した用途(自動車駆動用)から逸脱しない特性を得られるようにするための検討を行った。その結果、同一の鉄心形状のまま、鉄心の積厚を3分の1とし、それに対応した巻線に変更することによって、ほぼ元のモデルと同一の特性の傾向を得られることを明らかにした。 この小型モデルについて、実機を用いて静特性の確認を行った。巻線の抵抗値は概ね計算値と同一であったが、インダクタンスが二次元有限要素法解析による解析値より増加した。これは鉄心の積厚が減少したことにより、相対的にコイルエンド部の大きさが増大し、コイルエンド部による磁束漏れの影響が大きいためである。 その後、小型モデルでの実機試験を行うための準備を行った。実際に負荷をかけて試験を行うためのモータベンチ一式を導入し、上記で検討を行った小型モデルの実機と、負荷用の誘導機を取り付けた。この状態で、小型モデルのみに通電させ、動作確認を行った。予算の関係上、特性の切り替え自体は手動で行ったものの、前年度における想定通りに、スイッチトリラクタンスモータとシンクロナスリラクタンスモータ、両方のモータモードの動作を確認した。また、その際の電流実効値が23%異なることを明らかにした。すなわち、特性が切り替えられることを明らかにした。
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