研究課題/領域番号 |
18K13747
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
高山 聡志 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50613551)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 配電系統 / 電圧制御 / 無効電力 / 強化学習 / マルチエージェントシステム / アンシラリーサービス |
研究実績の概要 |
本研究は、再生可能エネルギーの大量導入や、電気自動車・ヒートポンプ給湯器といった電力に関する需要家行動の変化を起因とした電圧分布および電圧運用の複雑化に対して、人工知能の構成技術である強化学習を利用し、各需要家の太陽光発電用パワコンがそれぞれ適切な無効電力制御を学習することによって電圧制御または電圧に関するアンシラリーサービスに対する行動選択決定手法を開発することが目的である。平成30年度は、マルチエージェントシステムによる太陽光発電のパワコンによる無効電力制御手法の開発と協調行動の獲得について検討を行った。この結果、自端制御のみで電圧制御を行うときの課題抽出および周囲との協調による電圧上昇抑制効果について明らかにすることができた。 平成31年度実施予定であった、アンシラリーサービス利用における行動選択手法の開発についても一部着手し、見通しを立てるまでに至った。 これらの結果として、平成30年 電気学会 電力・エネルギー部門大会に2件、電気学会 電力技術・電力系統技術合同研究会に1件、電気学会 電力系統技術研究会に1件の研究発表を行い、高い評価を受けた。また、IFAC The 10th Symposium on Control of Power and Energy System (CPES2018)に1件論文投稿を行った。加えて、電気学会論文誌Bに1件の論文が採択されることとなった(2019年2月掲載)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度以降の研究計画は,1)マルチエージェントシステムによる無効電力制御手法の開発と協調行動の獲得,2)制御ロジックに関する実機検証であった。現在,これらは予定通りに進行しており,さらに,平成31年度実施予定の(3)アンシラリーサービス利用における行動選択手法の開発についても一部着手している。各段階で得られた研究成果の発表も行っており,研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度以降は,(3)アンシラリーサービス利用における行動選択手法の開発を実施していく予定であるが,前述の通り,この一部は既に着手している。ここまでの検討において,アンシラリーサービスのルール想定および各需要家のアンシラリーサービス参加による経済性評価に関する指標について整理したため、今後シミュレーションを行い、需要家のアンシラリーサービス参加による経済性検討および適切な行動選択が学習できたかどうかについて検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験機器を購入予定であったが、機器部品の高騰により購入予定であった機器が購入できなくなってしまったため差が生じた。ただし、国際共同研究先のUniversity of NewMexicoで同等の実験が行えることとなったため、渡航の費用として一部利用した。平成31年度も1度渡米し実験を行う予定である。加えて、学習に時間がかかることが確認できたため、このままでは予定の研究内容の実施が厳しい状況であるため、高性能の計算機用パソコンを数台購入する予定である。
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