本研究は、再生可能エネルギーの大量導入や、電気自動車・ヒートポンプ給湯器といった電力に関する需要家行動の変化を起因とした電圧分布および電圧運用の 複雑化に対して、人工知能の構成技術である強化学習を利用し、各需要家の太陽光発電用パワコンがそれぞれ適切な無効電力制御を学習することによって電圧制御または電圧に関するアンシラリーサービスに対する行動選択決定手法を開発することが目的である。平成30年度は、マルチエージェントシステムによる太陽光発電のパワコンによる無効電力制御手法の開発と協調行動の獲得について検討を行った。この結果、自端制御のみで電圧制御を行うときの課題抽出および周囲との協調による電圧上昇抑制効果について明らかにすることができた。これらの結果として、平成30年 電気学会 電力・エネルギー部門大会に2件、電気学会 電力技術・電力系統技術合同研究会に1件、電気学会 電力系統技術研究会に1件の研究発表を行い、高い評価を受けた。また、IFAC The 10th Symposium on Control of Power and Energy System (CPES2018)に1件論文投稿を行った。加えて、電気学会論文誌Bに1件の論文が採択されることとなった(2019年2月掲載)。令和元年度は電圧制御に関する協調に基づいたアンシラリーサービス利用における行動選択手法の開発について検討を行った。この結果、各エージェントに与える報酬関数を変更することにより、エージェントの行動を一部コントロールできることが示唆され、与える報酬に応じて適切な電圧制御が可能であり、電圧アンシラリーサービスへ貢献できる可能性について示唆することができた。これらの研究成果は今後、電気学会講演会および論文誌において研究発表を行っていく予定である。
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