本研究では、高効率な高温モータシステムの実現を目指し、高温環境におけるインバータ励磁下の磁性材料研究を行う。ここでは、インバータ励磁下の磁性材料の高温基礎特性取得のための実験的および数値的評価を行う。本年度、得られた主な3点の成果を以下に記す。 I.インバータ回路を用い、インバータ励磁下の高温アモルファス材の磁気ヒステリシス曲線を実験的に評価した。アモルファス材では、磁気モーメントの揺らぎにより、温度上昇に伴い、鉄損が減少することを示した。さらに、プレイカウアモデル (磁気特性を表現するモデル)を用いて数値計算により高温インバータ励磁下のアモルファス材の磁気ヒステリシス特性の表現に成功した。以上の実験および数値計算結果に関連する内容をまとめ、64th Annual Conference on MMMで発表した。また、J. Magn. Soc. Jpn.に論文が採択された。 II.併せて、インバータ励磁下の高温ナノ結晶材の磁気ヒステリシス曲線を実験的および数値的に評価した。ナノ結晶材では、磁気的相互作用が弱くなり、保磁力が増加し、鉄損が増加することを示した。以上の結果をまとめ、電気学会マグネティクス研究会で発表した。また、J. Magn. Soc. Jpn.に論文が採択された。 III.電気と磁気特性の体系的評価確立の基礎検討のための、新しい連成解析手法を開発した。以上の数値計算に関連する内容をまとめ、64th Annual Conference on MMMおよび2019年 電気学会 産業応用部門大会で発表した。また、J. Magn. Soc. Jpn.に論文が採択された。 なお、他に、熱の影響を受ける高周波領域でのインバータ励磁下の磁気特性を評価した。
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