研究課題/領域番号 |
18K13759
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
松室 尭之 龍谷大学, 理工学部, 助教 (60802923)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マイクロ波送電 / レトロディレクティブ / 位相共役回路 / 自己収束ビーム / ビーム伝搬法 |
研究実績の概要 |
申請者らは、信号の到来方向へ折り返してビームを再放射するレトロディレクティブシステムの原理を送電アレーアンテナと受電アレーアンテナの両方に適用した「両側レトロディレクティブ」を新たに考案した。このシステムは、送電側および受電側でレトロディレクティブを繰り返すことによって外部へのエネルギー漏洩が極小化するというビームの自己収束効果を持つ。この効果は、マイクロ波送電システムの社会実装に向けた中心的課題である電波漏洩の抑制に対して極めて有効であることが期待される。そこで本研究では、ビームの自己収束効果を持つ両側レトロディレクティブシステムの実現に向けた基礎的な研究開発を遂行する。初年度となる平成30年度においては、両側レトロディレクティブシステムの基礎的な解析を実施した。具体的には、自己収束ビームに関するシミュレーション検討、無限アレーアンテナモデルを用いた理論的考察およびフィードバック発振によるシステム動作の基礎的検討である。特に、自己収束ビームに関するシミュレーション検討では、アンテナが軸ずれを起こしている場合に対しても、レトロディレクティブ動作の繰り返しによって低漏洩状態にビームが収束することを明らかにした。このことは、大気揺らぎやアンテナ振動に対しても提案するシステムが有効に動作することを示している。これらの結果について国際会議APMC2018にて発表を行った。また、査読付論文誌への投稿を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、平成30年度においては様々な条件下でのビームの自己収束効果に関して検討を実施する予定であった。しかし、本年度ではシステム全体に関する包括的な検討を優先した。学会発表は少なかったものの論文誌への投稿を進めておりおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は当初の計画に従って様々な条件下における自己収束ビームのシミュレーション検討および両側レトロディレクティブシステムの起動プロセスに関する検討を進めるとともに、本年度実施した包括的検討によって明らかとなったシステム実装上の課題についても研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画ではシミュレーターに使用する計算機を購入する予定であったが、予算内では所望のスペックを持つものを購入することができなかったため、既存のコンピュータで可能な範囲のシミュレーションを実施した。次年度使用予算は、回路モジュール等の試作費用として使用する予定である。
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