研究課題/領域番号 |
18K13767
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
加納 伸也 神戸大学, 工学研究科, 助教 (20734198)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 呼吸数 / バイタルサイン / ナノ粒子 / 呼吸センサ / 湿度センサ |
研究実績の概要 |
本研究では、人間の呼吸を正確に計測する呼吸計の創成をめざしている。簡便かつ振動に強い呼吸数計測技術を提案するため、本年度は以下の研究を実施した。 1.呼吸計の高速化・高感度化を目的として、呼吸検知に利用する湿度センサのインピーダンス分光解析を行った。各種湿度環境下において湿度センサのインピーダンス分光解析を行うことで、湿度センサの周波数応答の評価につなげる。現在、安定にインピーダンス分光解析が行える状況に到達し、解析方法も確立しつつある。翌年度に応答性の評価につなげることとする。 2.市販の医療用酸素マスクにセンサチップ部とデータロガーを張り付けることで、ポータブルな呼吸計を試作した。この試作品を装着することで、対象者の安静/歩行/走行時の呼吸数計測が可能であることを示した。ヘッドセット型の試作品よりも、安定に呼吸数計測ができる。現在、既存の呼吸計測装置との比較対照実験が進行している。 3.将来の応用に向けては、簡便な方法かつ安価な材料でセンサチップを構築することが望まれる。そこで、安価で容易なセンサチップの開発法を見出した。鉛筆を用いて描いた炭素電極と、筆でコロイド状ナノ粒子を塗布して形成した湿度検出層を組み合わせて、湿度センサを形成した。金属蒸着やスピンコートといった作製プロセスを経て作製する既存のセンサチップと同様に、この簡便に作製したセンサが呼吸数検知を行えることを示した。この成果は、センサチップが非真空プロセスのみでも十分形成可能できることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
センサの高速化には至っていないが、歩行中・走行中といった労作時の呼吸数計測については、安定に行う方法を見出している。また、安価な材料かつ簡便な手法で、センサを構築する技術を見出した。以上の点を総括して、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1.コロイド状ナノ粒子を用いたセンサの高速化を進める。直近ではセンサチップを加熱することで応答の様子が変化するかどうかを調べる。また、感湿膜の表面処理によって、湿度変化に対する時間応答を早められるかを検討する。 2.既存の呼吸計測装置との比較対照実験を進め、それと同等の呼吸情報が得られるかどうかを調べる。同等な情報が得られれば、実際にポータブルな呼吸計としての利用が期待できる。 3.睡眠中の呼吸数計測への応用に関しては、スタンダードな熱感式センサとの差別化をはかれるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、「呼吸センサの測定回路開発のため、プリント基板作製の外注を行うことを計画している。そのため、電気測定部品に、各年度100万円計上している」としていたが、測定回路を代替するデータロガーを見付けて利用することができた。そのため、次年度使用額が生じた。次年度では、繰り越し分を合わせて活用し、より小さなセンサ回路設計を進める。
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