研究課題/領域番号 |
18K13770
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
桑江 博之 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (40801212)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 計測工学 / 有機EL |
研究実績の概要 |
平成30年度は、MEMS技術と液体有機ELの融合による高性能液体有機EL光源を実現を目的として、その要素技術の構築のために以下の課題について検討を行った。 「課題I μTAS技術と分子拡散シミュレーションによる消光種作用の抑制の検証」これまで、液体有機ELにおける光強度低下の原因となる消光種についてはほとんど研究が行われていなかった。研究代表者は、μTAS技術を用いて液体有機ELの定量的な評価可能な素子を構築した。それにより、時間経過とともに消光種が拡散され励起子と分離することで、消光種―励起子相互作用が抑制され、輝度回復が可能であることを明らかとした。 「課題II MEMS構造による液体有機半導体のハンドリング技術の構築」液体半導体をオンデマンドにデバイス上でハンドリングするために、電界による濡れ性制御 (エレクトロウェッティング)技術の応用を試みた。液体半導体を乳濁液とすることで、エレクトロウェッティングの適応が可能であることを見出した。そして、微小MEMS電極を用いることで液体半導体溶液の濡れ性を局所的に制御し、デバイス上で液体半導体溶液の動きをコントロールすることに成功した。 「派生効果」本年度は計画が予定よりも進展した為、来年度予定していた液体有機EL光源を用いた蛍光計測素子システムの構築に着手した。液体有機EL光源をサンプル検出用μ流路を集積化した。その際、量子ドット溶液と組み合わせることで高感度化可能であることを見出し、現在特性の評価を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に計画していた課題I-①「 μTAS技術と分子拡散シミュレーションによる消光種作用の抑制の検証」および課題II「MEMS構造による液体有機半導体のハンドリング技術の構築」について、ほぼ検討が完了している。また、来年度予定していた計画にもすでに着手を始めており、学会発表等の業績も着実に上がっている、以上から、おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
和元年度は、これまでとどうように、MEMS技術と液体有機ELの融合による高性能液体有機EL光源を実現を目的としてて、課題I-②「MEMS構造による励起子種の制御による液体有機EL光源の長寿命化」および発展課題「液体有機EL光源を用いた蛍光計測素子システムの構築」に取り組む予定である。 基本的には平成30年度と同様の研究方針を着実に推進していくことで、当初予定した目標は達成可能であると考える。一方で、有機ELの専門家にも協力を仰ぐことで、研究を更に発展することができると考えている。
|
備考 |
優秀発表賞(学生賞)受賞、第25回「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術」シンポジウム(Mate 2019)、メッシュパターンを有するフレキシブル酸化インジウムスズ電極の開発
|