最終年度は,実際の群ロボットを用いた実機検証に取り組んだ.そのための物理デバイスとして音に着目し,ロボットが音を出し,音を聞くことができる時,周囲のどんな情報を推定できるのか検証した.主要結果として,各ロボットが周囲のロボットの向きと姿勢を推定し,群行動に実際に応用できることがわかった. ここから具体的なロボットの実機開発について述べる.ロボットにマイクを3つ,スピーカを3つ搭載し,それぞれマイコン(Mbed)を用いて制御し,平面における360度の情報を推定できるよう設計した.実験条件としては,まず同一平面上に存在するロボットが互いの方向や姿勢を推定し,同じ方向に進んでいく群行動を実現していく研究に取り組んだ.実際に5台のロボットを用いた実験から徐々に進行方向を揃え,同じ方向に進んでいく様子を確認できた. さらに,音ならではの特徴を活かし,段差の上の(高さが異なる位置に存在する)ロボットの情報をどの程度推定できるのか,また,障害物によってお互いが見えない状況でも,ロボット同士が情報を推定できるのか調べた.その結果,音の回折を利用して,それらの状況に対応できることを明らかにした.本論文の成果は,理論や解析のみならず,実機実験を行うことで具体的に検証を行ったため,単なるアイデアではなく,有効性を示すことができたと言える.そして,一連の成果は学術掲載雑誌論文にも採択されたことから,アイデアの有効性を高く評価されたと言える.
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