研究課題
ダイヤモンドパワー半導体素子は,高温環境に耐え,高耐圧,高周波数動作が可能であると期待されているが,その材料の性能を十分に発揮できていない.本研究では特にダイヤモンドと絶縁膜界面状態の改質に着目し,トランジスタ素子性能の向上を目的とした.高性能なダイヤモンドパワー半導体素子作製に向けて,電界効果トランジスタの絶縁膜となる酸化アルミニウム薄膜の形成方法を検討した.ダイヤモンド基盤は水素終端面を使用しており,絶縁膜成膜時に終端状態が変化している可能性が考えられた.そこで,絶縁膜成膜条件によるトランジスタ素子の界面欠陥状態への影響を調査した.酸化アルミニウム薄膜は原子層堆積法を用いて成膜した.原料ガスには一般的に用いられるトリメチルアルミニウム(TMA)に加えて,ヂメチルアルミニウムハイドライト(DMAH)を用いた.DMAHはTMAに比べてメチル基が一つ少なく,代わりに水素が結合して構成される.よって,膜中の不純物となる炭素の減少や,水素終端面の水素脱離を再終端する効果などが期待された.これら2種類の絶縁膜による界面状態変化を調べるため,水素終端ダイヤモンド基板上にTMAとDMAHを用いて酸化アルミニウム薄膜を成膜し,キャパシタを作製した.これを用いて静電容量-電圧特性を測定し,High-low法を用いて界面欠陥準位密度を算出したところ,DMAHの場合に欠陥密度が減少した.原料ガス種の違いにより,界面終端状態が変化することが示唆された.
すべて 2021
すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)