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2018 年度 実施状況報告書

河川堤防の連続性を考慮した浸透破壊メカニズムの実験的解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K13825
研究機関東京工業大学

研究代表者

堀越 一輝  東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (90771965)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードパイピング / 河川堤防 / 浸透
研究実績の概要

2018年度においては,遠心模型実験装置を用いた模型浸透実験によって,堤防の縦断方向に均質な地盤におけるパイピングの進行について分析をおこなった.実験で得られた視覚的なパイピング跡と流出噴砂の様子は,パイピングの進展プロセスを詳細に理解するうえで,横断面における2次元的な進展のみならず,現象を3次元的に捉えることの重要性を示唆するものであった.このパイピングの3次元的な進展を把握するため,透明盛土を用いた浸透模型実験も実施した.これらの実験結果からパイピングの進展形態を次のように推察した.
1.堤内地側の法尻付近でパイプが形成する.2.河川水位の上昇に伴って,形成されたパイプが拡大,後退的に進展する.3.拡大したパイプの断面がある程度大きくなると,上部にある堤防盛土から受ける荷重を支えることができず,パイプは上部の盛土によって押しつぶされ,閉塞もしくは縮小する.このとき,閉塞したパイプの直上の盛土は局所的な沈下を引き起こす.4. パイプ閉塞部では,これを迂回するような水みちが形成される.5. 外力である河川水位のさらなる上昇(もしくは高水位状態の継続)によって,閉塞・縮小したパイプが再度形成する.閉塞部分を避けるように発生した水みちにおいても新たなパイプを形成する.6.パイプは2~5の伸長・拡大,閉塞・縮小,水みちの形成,再形成のサイクルを繰り返しながら堤外地側へ進展し,最終的に破堤を引き起こす原因となる.
また,これらの模型実験の結果は.パイピングの進展する方向は,パイピングの発生位置から最も短い浸透路長に沿うわけではなく,盛土圧によって閉塞したパイプ部分を迂回する水みちによって,パイピングは蛇行・枝分かれ,3次元的な進展を示すものであった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初,堤防の縦断方向に不均質に堆積している地盤状態における実験条件での実験の実施を予定していた.しかしながら,縦断方向に均質な地盤での実験において,パイピング現象の3次元的進展の様子を実験的に捉えることができた.そのため,複雑な縦断方向に不均質に堆積している地盤状況の実験に先立ち,より単純な条件である縦断方向に均質な状況でのパイピングに3次元的な進展についての検討を多く実施した.以上より,2018年度の進捗状況とやや遅れているものとなった.

今後の研究の推進方策

2019年度は,前年度に得られた実験結果を参考に,遠心模型装置内で,河川の縦断方向の不均質性を再現できるような,実験容器を開発し,これを用いた模型浸透実験を実施する.具体的には,河川水位をゆっくりと線形的に上昇させる浸透状態のもと,堤防下部の基礎地盤の縦断および横断方向の空間的な地盤堆積状態を実験パラメータとした実験を4ケース実施する予定である.

次年度使用額が生じた理由

堤防の縦断方向に「不均質」に堆積している基礎地盤の状態に関する浸透実験の実施に先立ち,縦断方向に「均質」に堆積した基礎地盤の状態に関する浸透実験を実施した.計画当初は,「均質」状態での浸透実験の後,直ちに「不均質」な堆積状態を再現をおこなう半無限地盤模型実験装置の開発をおこなう予定であった.しかし,「均質」状態での浸透実験よって,パイピング現象の3次元的進展の様子を実験的に捉えることができ,この「均質」状況での詳細な分析を実施した.そのため,当該年度に開発する計画であった半無限地盤模型実験装置に関する費用は,この「均質」状態の地盤状況の実験結果を分析したあとである,次年度に使用する計画である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] パイピング進展挙動に着目した河川堤防の進行破壊に関する実験的研究2018

    • 著者名/発表者名
      野田 章太,堀越 一輝,高橋 章浩
    • 学会等名
      地盤工学会関東支部 発表会
  • [学会発表] 堀越一輝,野田章太,瀧澤歩実, 高橋章浩2018

    • 著者名/発表者名
      遠心模型実験によるパイピングの観察と3次元的進展の検討
    • 学会等名
      第6回 河川堤防技術シンポジウム

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公開日: 2019-12-27  

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