研究実績の概要 |
本研究は,地盤を人工的に冷却・加熱した際に生じる地盤の凍結融解と土中水の蒸発現象を利用し,重金属汚染土壌中の重金属を一箇所に集積させ,除去する浄化法の開発を目的としている.2020年度は,次の2点を中心に検討を行った.
①2018,2019年度に数値解析実験によって冷却温度・加熱温度,土壌水分量,土性の違いが地盤中の水・熱・重金属移動に与える影響を解明したが,2020年度は追加で重金属の移動量が最大となる最適な冷却・加熱時間について検討した.その結果,冷却時間の延長と加熱時間の短縮により水と重金属の移動量が増加することが明らかになった.これにより室内試験での最適な冷却・加熱サイクルが決定された. ②土壌カラム両端の温度をコントロール可能な室内実験装置と模擬汚染土を用いて,提案手法の有効性について様々な土壌条件の元,検討した.その結果,本手法によって重金属が冷却・加熱面に集積することが示された他,以下の知見が得られた.吸着材の併用によって土中の重金属量が大幅に減少すること,粒径が細かい土で除去効率が高いこと,比較的水分量が低い場合に重金属の除去量が増加する事,キレート剤の添加により重金属の移動量は増加するが,吸着材への集積量には変化がないことが明らかになった.
以上より,本手法の適用に最適な土壌環境が解明され,実用化に向けて多くの知見が得られたと考えられる.
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