研究課題/領域番号 |
18K13838
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中谷 祐介 大阪大学, 工学研究科, 助教 (20635164)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 河面観測システム / AIを利用したカメラ画像解析 / スカム動態予測モデル |
研究実績の概要 |
下水道越流水が流入する都市河川では,降雨後に大量の浮遊汚泥(スカム)が河面を埋め尽くすことが報告されている.スカムは魚類の大量へい死を引き起こし,水域生態系を劣化させるとともに,生活環境を悪化させることからも早急な解決が強く望まれている.本研究では,大阪府寝屋川水系~大阪市内河川を対象として,感潮河川網で発生するスカムの動態を明らかにし,具体的な解決策を提案することを目標としている.2018年度は以下の研究成果を得た. (1)定点カメラを用いた河面観測ネットワークの構築: 河道複数地点に河面観測カメラを設置し,スカムの観測ネットワークシステムを構築するとともに,代表地点にはメモリー式流況・水質計を設置した.また,大阪府河川室が防災用に設置・配信している河川監視カメラ画像をwebから自動取得するスクリプトを開発し,データの蓄積を継続している. (2)観測データを用いたスカムの挙動解析: これまでに取得した観測データを基に,スカムの挙動と気象・潮位・水質等との関連について解析を行った.また,AI技術を利用して,カメラ画像データからスカム発生量を連続かつ定量的に評価するプログラムを開発し,スカムの挙動について解析を行った. (3)スカム動態予測シミュレーション: 対象水域に三次元流動モデルを適用し,粒子追跡モジュールをベースとしたスカム動態予測モデルを開発した.また,開発モデルを用いて数値シミュレーションを行い,スカムが発生・集積しやすい地点を推定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり,現地に河面観測ネットワークシステムを構築するとともに,スカム動態シミュレーションモデルを開発し,それぞれ解析を進め,有用な知見が得られ始めている.スカム動態の素過程モデルの構築に必要なパラメータ同定のために,性状分析や室内実験を行うことを予定していたが,既往研究で得られている知見を整理することを優先して取り組んだ.
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今後の研究の推進方策 |
観測は2019年度末まで継続し,さらなるデータの蓄積を図る.今後はスカム問題の解決につながる有効な施策の提案を目指して,構築した観測システムや数値モデルを用いた解析を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査等のために購入した消耗品費(物品費)が予算を上回ったことや,論文投稿費等(その他)が予算を下回ったことなどにより,次年度使用額が発生した.次年度使用額については2019年度に請求した助成金と合わせて,主に現地調査のための消耗品費として使用することを計画している.
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