研究課題/領域番号 |
18K13839
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
竹村 吉晴 中央大学, 研究開発機構, 機構准教授 (90634684)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 波状跳水 / 完全跳水 / 準三次元解析 / 非静水圧 / Q3D-FEBS / 河川横断構造物 / 水深積分モデル |
研究実績の概要 |
跳水を伴う流れと水面変動の予測は,河川横断構造物の洗堀対策や流れの減勢方法の検討に重要である.平面二次元解析法は河川の洪水流解析に広く利用されており,工学的に極めて応用性の高い解析法である.しかし,平面二次元解析法では,跳水内部の流速・圧力分布,乱れエネルギーの生成・逸散過程を適切に解析できないことから,河川横断構造物周辺の流れの解析への適用には課題がある.一方,近年では,実河川の三次元解析も行われつつあるが,その利用は時間・空間的に限定された範囲にとどまり,より効率的に河川横断構造物周辺の三次元的な流れ場を求めるための解析法が求められている.本研究は,流速鉛直分布を仮定することで,平面二次元解析法と大きく変わらない計算負荷で三次元的な流れを解析可能な準三次元解析法の枠組みにおいて,跳水を伴う流れと水面変動を予測するための解析法の開発を目的とする. 本年度は,水面と底面上の流れの方程式を水深平均の流れの方程式とともに解析する新しい非静水圧準三次元解析法(quasi three-dimensional model considering flow equations on boundary surfaces: Q3D-FEBS)を開発し,波状跳水と完全跳水の既往実験に適用した.Q3D-FEBSは,非静水圧の評価が重要となる波状跳水の水面形や流速鉛直分布,ローラー渦の発生による三次的な運動量輸送と乱れの生成・逸散過程の評価が重要となる完全跳水の水面形や流速鉛直分布,乱れエネルギーの縦断分布等を説明できることを示した.さらに,数値シミュレーションからフルード数の増大に伴い,波状跳水の高く切り立った水面上で流れの剥離が発生し,ローラ渦を伴う完全跳水に遷移する過程をQ3D-FEBSにより計算可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,まず,申請者が構築してきた非静水圧準三次元解析法(GBVC-FSV法)の圧力の非静水圧成分を含む流れの基礎方程式群に,水面と底面上の運動方程式を加えることで新しい非静水圧準三次元解析法を構築(Q3D-FEBS)し,そのプログラムコードを作成する.その後,Lennonら(2006)の実験を対象に解析モデルの検証を行うことを計画していた. 申請者はQ3D-FEBSの基礎方程式群の誘導とプログラムコードの作成を完了し,解析モデルの検証を計画通り行うことができた.当初計画では,Lennonら(2006)の実験を対象とすることを考えていたが,より詳細なデータが計測されているChannson(1993),Gotohら(2005)の波状跳水の実験,Chacherea & Chanson(2010)の完全跳水の実験を対象としてQ3D-FEBSの検証を行い,波状跳水,完全跳水,波状跳水から完全跳水への遷移過程を計算可能なことを確認した.
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今後の研究の推進方策 |
今までのところ当初計画通りに研究を進めることができている.今後も計画を変更せずに研究を進める予定である. 来年度は,大河津分水路で計画されている新第二床固の減勢工の効果検討実験(縮尺1/30)を対象として,Q3D-FEBSにより越流部下流にバッフルピアが千鳥配置された流れ場の計算を行い,水位と流速の計測値,実験時の写真を数値化した各瞬間の水面形状を本解析法でどの程度再現できるか検証する.これにより,Q3D-FEBSで跳水を伴う三次元流れと水面変動がどの程度再現できるか,さらに,一連の検討をバッフルピアの配置が異なる実験結果についても実施し,両者の結果を比較することにより減勢効果の再現性を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度,購入予定であった大容量外付けハードディスクの購入を見送ったため,次年度使用額が発生した.次年度使用額は,本年度購入予定であった大容量外付けハードディスクの購入に使用する.
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備考 |
研究動画集をクリックすると本研究で開発したQ3D-FEBSによる波状跳水から完全跳水の遷移過程の数値シミュレーション結果がご覧になれます.
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