研究課題
跳水を伴う流れと水面変動の予測は,河川横断構造物の洗堀対策や流れの減勢方法の検討に重要である.平面二次元解析法は河川の洪水流解析に広く利用されており,工学的に極めて応用性の高い解析法である.しかし,平面二次元解析法では,跳水内部の流速・圧力分布,乱れエネルギーの生成・逸散過程を適切に解析できないことから,河川横断構造物周辺の流れの解析への適用には課題がある.近年では,実河川の三次元解析も行われつつあるが,その利用は時間・空間的に限定された範囲にとどまり,より効率的な解析法が求められる.本研究は,流速鉛直分布を仮定することで,平面二次元解析法と大きく変わらない計算時間で三次元的な流れを解析可能な準三次元解析法の枠組みにおいて,跳水を伴う流れと水面変動を予測するための解析法の開発を目的とする.本年度は,昨年度構築した非静水圧準三次元解析法(Q3D-FEBS)の跳水を伴う三次元流れと水面変動,減勢工の効果の再現性について検討した.縮尺1/30の大型水理模型水路で行われた大河津分水路新第二床固の減勢工の効果検討実験にQ3D-FEBSを適用した.床固は,実スケールで9mの落差を持ち,越流部の直下にはバッフルピアが三列千鳥状に配置されている.実験では,水路中央で水位の縦断分布と流速鉛直分布が観測されている.Q3D-FEBSは,非静水圧の影響の影響を強く受ける越流部の水面形を良好に説明できることを確認した.また,バッフルピア上流における強制跳水の発生位置やローラー渦の大きさ,バッフルピア背後の後流域の影響を受ける減勢区間の水面形や流速分布を概ね説明できることを明らかにした.一方,流速鉛直分布形を仮定している関数形の限界から,バッフルピア背後の後流域を小さく計算する傾向があることを示した.また,Q3D-FEBSでは,実験で確認された跳水部での水面変動を説明出来なかった.
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河川技術論文集
巻: 第25巻 ページ: pp.267-272
土木学会論文集B1(水工学)
巻: Vol.75,No.1 ページ: pp.61-80
https://doi.org/10.2208/jscejhe.75.61
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~sfuku/sfuku/index.php