研究課題/領域番号 |
18K13842
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研究機関 | 国立研究開発法人土木研究所 |
研究代表者 |
原田 大輔 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(水災害・リスクマネジメント国際センター), 研究員 (30795802)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中山間地河川 / 流砂・河床変動 / 平面二次元洪水流解析 / 流木 |
研究実績の概要 |
本研究は、出水時に多量の土砂・流木が供給される中山間地河川における、平面二次元流路・河床変動及び洪水流の解析手法を確立しようとするものである。特に、1)ウォッシュロード として流下する微細砂の計算法を提案する、2)移流拡散方程式を用いた流木の解析法を構築すること、を主たる研究の目標としている。1)については、密度流モデルを用いた極微細土砂の解析法を新たに提案し、これを検証するために微細土砂を用いた実験を実施して過去の研究成果と比較すると共に、これを平面二次元洪水流解析モデル(iRIC-Nays2DH)に組み込んでいる。このモデルを用いて、2018年の西日本豪雨で甚大な被害が生じた広島県の総頭川を対象として現地調査及び提案するモデルを用いた数値解析を行い、また2019年の台風19号で甚大な被害が生じた宮城県の五福谷川を対象として数値解析を行い、モデルの妥当性について検証を行っている。2)については、新たに提案する移流拡散方程式を用いた流木の解析法を平面二次元洪水流解析モデル(iRIC-Nays2DH)に組み込んでおり、2017年の九州北部豪雨における赤谷川の災害を対象に検証を行っている。計算結果と現地の災害後に分布している流木の堆積状況を比較し、本モデルの妥当性についての検討を行っているところである。このようにモデルを構築し、複数の対象河川にこれを適用して検討を行っているため、今後これらを総合的に取り纏め、中山間地河川で生じる多量の土砂・流木の解析法を提案する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在までの進捗として、本研究で新たに提案するモデルを既存の平面二次元洪水流解析モデル(iRIC-Nays2DH)に既に組み込むことができた。これを用いて様々な洪水流解析に適用する準備が整い、様々な解析を既に行っている。解析対象として、2017年の九州北部豪雨における赤谷川の災害、2018年の西日本豪雨で甚大な被害が生じた広島県の総頭川、2019年の台風19号で甚大な被害が生じた宮城県の五福谷川等を選定し、提案するモデルを用いて解析を行い、妥当性を検証している。既にモデルが完成し、多くの対象地域で妥当性の検討を行う段階であることから、当初の計画以上に研究が進展している。また、モデルを検証する実験についても実験を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で新たに提案するモデルについて、既に複数の対象地域で解析を実施しているため、それぞれの成果を取り纏めて学術雑誌に投稿し、広く成果を公表する。また、複数の解析を行っているため、これらの結果を比較して総合的な考察を行い、一般的に中山間地河川の解析、ひいては河道計画の上で重要な点について取り纏めを行う。その実施にあたっては、既に実施した解析についてもより詳細な計算や、多くの計算ケースを実施する必要があるため、それを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に投稿しようとしていた論文の投稿計画に遅延が生じたため、投稿費用の一部を本年度内に使用することができなかった。これを、次年度に使用する予定である。
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