研究課題
2017年の九州北部豪雨における赤谷川,2018年の西日本豪雨災害における総頭川,2019年の東日本豪雨災害における五福谷川等,中山間地河川で近年頻発する所謂「土砂・洪水氾濫」では,上流から多量の微細土砂や流木が供給された結果,下流域に甚大な被害をもたらしており,これらの現象を解析することのできる手法が必要とされている.本研究では移流拡散方程式を用いた流木の解析法と,連行の概念を用いた微細土砂の解析法を新たに提案し,提案する手法の妥当性を実験によって検討しつつ,解析法を平面二次元流れに導入し,上記の災害事例に適用し,洪水流の再現計算を実施した.流木の解析法について,具体的には,河道における流木の侵食および堆積は,土砂の侵食及び堆積に対応して起こるとしてモデル化し,移流拡散方程式に対してこれらを導入すると共に,流木の橋梁への捕捉項を導入することによって,流木の挙動を記述する方法を提案した.連行の概念を用いた極微細土砂の解析法については,従来解析が困難であった5μm~100μmの極微細土砂を含む幅広い粒度分布のウォッシュロード・浮遊砂の解析に適用可能であることを確認した.これらのモデルを用いて2017年の九州北部豪雨における赤谷川の再現計算を行った結果,洪水痕跡水位,土砂・流木の堆積の状況を概ね再現することができている.本研究によって,平面二次元流れの計算において,流砂,流木それぞれの挙動が洪水流に伴う河床変動,河床材料の変化を引き起こし,そのことがまた洪水流の変化を引き起こすという一連の現象について取り扱うことを可能にした.
すべて 2020
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河川技術論文集
巻: 16 ページ: 609-614
土木学会論文集B1(水工学)
巻: 76, No.2 ページ: 1111-1116