研究課題/領域番号 |
18K13844
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水谷 大二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (30813414)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インフラマネジメント / インフラ廃棄問題 / 最適化 |
研究実績の概要 |
画一的な維持管理ルールを用いたインフラアセットマネジメント手法の開発に向け,既往研究の整理,数理的方法論の定式化,画一的維持管理ルールの適用可能なインフラの種類の整理などを平成30年度前半で実施した.その上で,維持管理ルールの最適化問題をヒューリスティックな手法により解くことを予定していたが,まずは,解の最適性が保証されるような小規模な社会基盤ネットワークにおける維持管理問題において問題を考え,最適化問題の特性を把握する必要があるとの問題意識に至った.そのため,従来の研究計画に若干の変更を加え,今年度は,小規模な社会基盤ネットワークにおける最適維持管理施策決定問題において,厳密解を求めるための方法論を開発し,画一的維持管理ルールを採用したときとの比較を行った.その際,単に小規模な社会基盤ネットワークにおける最適維持管理施策決定問題を考えるのではなく,i)維持・補修問題に加えてインフラの廃棄問題を考慮する,ii)交通量制御による劣化過程の制御を考慮する,という2点により,研究としての新規性,有用性を付加した上で研究を実施した.その成果は,複数の国内学会で既に発表しているととともに,査読付きジャーナルへの投稿準備が大詰めを迎えている状況である.また,大規模な社会基盤ネットワークにおける問題に関しても現在検討を進めており既に最適化問題の定式化は完了している.現在は,その問題の解法を検討するとともに,国内外の研究者に対して良い解法が無いかを問い合わせている段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,平成30年度に大規模なネットワークでの画一的維持管理ルールを用いた最適化問題の解法についても検討,開発予定であったが,「研究実績の概要」で説明した通り,まず,小規模なネットワークでの問題において問題の特性を把握することが望ましいと判断し,大規模なネットワークでの解法の検討は次年度へと延期した.しかしながら,上記の小規模なネットワークでの問題において,インフラの廃棄問題,交通量制御効果を考慮した方法論を開発でき,当初予定していなかった研究の進捗が見られた.これらのことを総合的に考慮し,「(2)おおむね順調に進展している」と判断する.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に得られた小規模なネットワークにおける知見を活用し,大規模のインフラ維持管理問題における画一的維持管理ルールの適用可能性を検討する.既に大規模なネットワークにおける画一的維持管理ルールを用いた維持管理最適化問題の定式化は済んでいるが,その解法に関する継続的検討が必要であり,そこに重点を置いて平成31年度の検討を進めてゆき,当初の最終目的であった,ネットワーク特性を考慮しつつも汎用性の高い画一的最適維持修繕ルールの決定を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
大規模なネットワークに対する計算負荷の大きい最適化問題の解法の開発を平成31年度へ延期し,そのための計算用PCの購入を平成31年度へ延期したため,その分の予算が次年度使用額として生じた.平成31年度に当該計算用PCを購入し当該次年度使用額を使用する予定である.
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