本年度は昨年度までに検討した利用者費用の大きさをサービスレベルとして評価した同時規制ネットワークデザイン問題の検討内容をとりまとめ,国際学会(Eastern Asia Society for Transportation Studies)にて発表した.これは昨年度に開催される予定であった各種学会等が中止,延期等となったため,本年度まで本研究課題を研究期間延長し,開催される学会に投稿したものである.投稿論文では提案モデルをテストネットワークに適用した結果を示した.提案モデルの出力は単純に一つずつ通行止め規制するケースと比較すると,総走行時間の期間総和を最大39%程度小さくできることを示した.また,テストネットワークでの演算では汎用コンピュータでも十分演算が可能であることを確認した.昨年度の内容を含めた一連の検討より,大規模更新を想定するような高規格道路を中心とし,ある程度簡素化したネットワークで,工事対象区間数が膨大でない限り提案手法が適用可能だと判断した.また,提案手法は離散的な工事期間を想定し,その組み合わせを最適化する問題として定式化している.連続的な時間幅を想定した定式化では離散化された時間での定式化に比べて制約が緩和されるため,より高いサービスレベルの解が導出される一方,膨大な計算量の増大が見込まれる.しかしながら,発表会等での議論において,この離散的な時間幅を想定して得られた解は,仮に連続的な時間幅を想定しても最適となることを発見した.したがって,連続緩和する必要がないことになり,提案手法が簡便で優良な解が得られることがわかった. 同時規制ネットワークデザイン問題の検討に関連する国際学会での研究発表1件,投稿論文の掲載1件(製本中)を持って本研究課題を完了とする.
|